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腸のおはなしシリーズ

はじめに

健康に大切なものというと、多くの方は食事や運動を挙げると思います。サプリメントなどを活用されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

私たちの食生活、生活環境は大きく様変わりしてきました。外食産業、スーパー、コンビニエンスストアの進出で手軽に食事を摂ることができる飽食の時代を迎えています。食べ物を自由に選択できるこのような環境にあっては、それが返って弊害をもたらし、生活習慣病等の一因にもなってきています。

そんな状況下、「腸を見直そう」と叫ばれています。
これまで“腸”は単なる消化器官として扱われていましたが、腸を改善する様々な食品が多く普及しています。なぜ、それほどまでに見直されているのでしょうか?

そこで、このページでは、腸のお話シリーズとして、腸の働きを中心に消化器官の仕組みをいくつかのお話に分けて、できるだけどなたにも分かりやすく、まとめてみたいと思います。新しいお話を追加したら、フェイスブックでお知らせします。

 

食事って?

食事の目的
「食事」の目的について考えたことがありますか。
辞書によると、食事とは「栄養をとるために習慣的に毎日何度か物を食べること。またその食べ物」とあります。食事は生命維持に欠かせない栄養を体内に摂り入れることがまず第一の目的なのです。

栄養素は体をつくる材料・エネルギー源
私たちの体は60兆個ほどの細胞でつくられており、その細胞はたんぱく質・脂質・ミネラル・炭水化物・核酸・水から出来ています。
人の体を構成する血液や筋肉などの組織は、食べ物から摂取する栄養素によって常に作り変えられていますし、体を動かすためにはこれらの栄養素をエネルギー源として利用しています。このうち体内で合成できないものを食べ物でおぎなう必要があります。
それでは「栄養素」はどのようにして体内に取り入れるのでしょうか。

 

「入り口から出口まで・・食べ物の流れ」

食べ物の流れ

消化管は一本の管
人は食べ物を口に入れただけでは「体内に受け入れた」とはいえません。食べ物から栄養素を体内に摂り入れるには、消化する必要があります。

人の消化器官のうち、口腔・咽頭・食道・胃・小腸・大腸を「消化管」と呼びます。口から肛門まではおよそ全長9メートルにもおよび、一本の管状になっています。

食べ物は消化管を通過する間に、徐々に小さい分子に分解され、腸内にて必要なものは吸収、不要なものは排泄されます。
 

体内の体外
消化管は「体内の体外」とも言われます。
例えば、人間の形を単純化してちくわのような形だと考えますと、「ちくわの穴の中」はあくまで外気とつながる「体外」であり、「ちくわの身の部分」に入ってはじめて「体内」となります。

消化管は腸で栄養素の最終消化と吸収を行ないます。つまり腸で吸収して初めて「体内」に受け入れたことになります。言い換えれば、腸はまさに体内の入り口であり、きわめて重要な関所ともいえます。

 

主な消化器官のはたらきについて

口から入った食べ物が栄養として小腸で体内に取り込まれるためには消化酵素が必要になってきます。消化酵素は各器官で分泌され、食べ物を栄養素の状態にまで徐々に分解します。
では、主な消化器管の働きを紹介します。

 

食べ物は口の中で運搬しやすいように歯で噛み砕かれ、だ液と混ざります。だ液の中に含まれる消化酵素ででんぷんが分解され、飲み込みやすくなります。

主な消化酵素

部位分泌液主な消化酵素主な働き
唾液アミラーゼでんぷんなどの炭水化物を分解

口から入った食べ物は、食道を通過し、胃袋に落ち着きます。それは、時間にしてわずか1分程度。食物が入ったという信号を受け取った胃は、胃壁からどんどん胃液を放出し、消化活動をはじめます。
消化にかかる時間は、ごはんや麺類で約2時間、肉類でも3~4時間ほどです。空腹時は小さくしぼんでいる胃袋も、満腹時には1.5ℓの容積を溜めこめるほどにまで広がります。

胃に食べ物が入ると胃液が分泌されますが、さて、この胃液、
胃液は胃酸・ペプシノーゲン・粘液でできています。胃酸は食べ物の中の食物繊維をやわらかくする働きがあり、また外敵菌を殺菌する効果もあります。胃酸は大変強い酸性ですので胃の粘膜を保護する粘液も胃液に含まれています。
食べ物は胃液の酵素と混ざり、蠕動運動でさらに細かく粥状になりま
す。そして少しずつ小腸(十二指腸)に送られます。

主な消化酵素

部位分泌液主な消化酵素主な働き
胃液ペプシンたんぱく質分解

※ぺプシンは胃液の中のペプシノーゲンが胃酸によって変化したもの

小腸
小腸は、十二指腸・空腸・回腸からできています。全長は6~7mほどあり、消化管の大半を占め、食べ物の最終消化と吸収はほとんどここで行われます。小腸は様々な消化酵素が混ざり合う化学工場ともいえます。

すい液と胆汁が合流
肝臓とすい臓は、総胆管・すい管で十二指腸につながっています。
胃から送られてきた半消化物は、アルカリ性の消化液(すい液・胆汁)の作用を受け胃酸を中和しながら消化を進めます。すい臓からでるすい液は、たんぱく質・でんぷん・脂質を分解し、肝臓から分泌される胆汁は、脂肪と結合して脂肪の吸収を助けます。

 粘膜から腸液
十二指腸で分解された食べ物は、小腸の粘膜から分泌される各種の
腸液でさらに吸収される大きさまで分解されます。

主な消化酵素

部位分泌液主な消化酵素主な働き
小腸の粘膜腸液マルターゼほかでんぷんをブドウ糖に分解
ペプチターゼほかたんぱく質をアミノ酸に分解
リパーゼほか脂肪を脂酸とグリセリンに分解
すい臓すい液アミラーゼでんぷんなどの炭水化物を分解
トリプシンたんぱく質を分解
キモトリプシン
エラスターゼ
リパーゼ
中性脂肪(トリグリセライド)を、脂肪酸とグリセリンに分解
肝臓胆汁※含まれずすい液と協力して、脂肪の消化、吸収を助ける

※胆汁は、肝臓で作られた胆のうに一時貯蔵、濃縮される。

腸絨毛から吸収
小腸の内側の粘膜は輪状のヒダで覆われ、このヒダには腸絨毛と呼ばれる突起物があり、腸絨毛にはさらに微絨毛が覆っています。これらの面積はテニスコート一面くらいになります。腸絨毛の内部にはリンパ管や毛細血管がつながっており、栄養素はここを通って体内に吸収されます。一度肝臓に蓄えられ、その後再構成されて全身へ送られます。

カスの貯蔵・便の加工工場
大腸は盲腸・結腸・直腸に分かれています。小腸より太く直径3~5センチ、長さ1.5メートル位あり、小腸のような絨毛はありません。小腸で消化吸収されて残ったカスを一時的に蓄え、余分な水分をさらに吸収してほどよい固さの便を作る、便の加工工場になっています。


 腸内細菌による消化
小腸で消化・吸収し切れなかった成分は腸内細菌が利用します。大腸にはたくさんの腸内細菌が棲んでいて、流れてきた未消化のカスを分解し様々な物質を代謝します。これらの物質を人が吸収して健康に役立てています。腸内細菌の働きは、人と密接に関っていてとても重要な役目を負っていることがわかってきています。

 

腸の主なはたらき 「腸は第二の脳」

腸の主なはたらき

腸のはたらきを大きくまとめると次のようになります。

  1. 消化:食べ物の最終消化と腸内細菌による分解が行なわれる。
  2. 吸収:分解された栄養素や水分を吸収する。
  3. 排泄:蠕動運動により不要な老廃物と毒素を便として排泄する。
  4. 免疫:免疫細胞が集中していて常に外敵菌等から守っている。

※ 他にも解毒などの作用があるといわれています。

腸は「第二の脳」

腸は第二の脳

腸は驚くほど精密にできており、24時間絶え間なく働き人間の生命を支えています。言い換えれば、常に体を一定に保とうとする生態恒常性(ホメオスタシス)の維持という役割を担っているともいえます。

腸は脳からの指令がなくても自分で判断して活動する力が備わっていて、「第二の脳」とも呼ばれれています。

※ホメオスタシス(同一の状態を表すギリシャ語からの造語)生体の内部や外部の環境因子の変化にかかわらず、生体の状態が一定に保たれる性質、あるいはその状態のこと。生物のもつ重要な機能の一つで、体温調節※がその典型例→ある一定温度より体温が高くなると、発汗や皮膚血管の拡張で体温を下げようとしたり、体温が低くなるとふるえなどにより体温を上げようとするはたらき。

腸管で働く免疫機能
腸には栄養素の消化吸収を行なうだけでなく、免疫機能もあります。
腸管で働く免疫機能とは、食べ物と共に入ってくる異物(病原菌や毒素など)を排除し必要なものは取り入れ常に生体を守るシステムです。
腸管は食べ物と一緒に入ってきた様々な有害物質に絶えずさらされていますが、腸壁にはパイエル板(下記参照)のような免疫細胞が集中しており、ここで、外敵菌や有害物質をすばやく識別して排除するのです。人体最大の免疫器官と言われています。

腸管で働く免疫機能の主な特徴

  1. 食べ物とともに侵入してきた抗原(病原菌、ウィルスなど)を排除する。
  2. 経口免疫寛容を行なう・・・食べ物のたんぱく質や腸内細菌に対しては
    免疫反応をしない。

※食物アレルギーを起こす場合は特定のアレルゲンにこの免疫反応が過敏に反応するためです。

食べ物と腸内細菌のおはなし

 腸内は最適住環境

腸内細菌はおよそ100~500種類、全体で100兆個(重さ約1kg)ほどになると言われていわれています。腸壁にお花畑のようにびっしりと種類ごとに分布しているので、腸内フローラ(腸内細菌叢)と呼ばれています。

右の表を見ると、小腸の後半部分(主に回腸)から数が増え、大腸で莫大な数になっています。また、腸内細菌は酸素の乏しい腸管という特殊な環境を好む、特殊な菌群であると言えます。

 

 
  変化する腸内フローラ
腸内細菌は一般にその働きにより3種類に分類され、それぞれ拮抗しながら共棲しています。

  • 善 玉 菌:ヒトに有益な働きをする菌群:ビフィズス菌、乳酸桿菌、乳酸球菌 など
     
  • 悪 玉 菌:ヒトに有害な働きをする菌群:ウェルシュ菌、ブドウ球菌、ベーヨネラ など
     
  • 日和見菌:日和見菌:悪玉菌にも善玉菌にもなりうる菌群(悪玉菌が増えれば日和見菌もその働きに加担する)大腸菌、バクテロイデス など

腸内フローラは、生まれたときの環境などにより、そのヒト独自のフローラができあがると言われています。腸内は母体にいる状態では無菌ですが、出生と同時に産道や空気、周りの人間の肌の接触などによって細菌が侵入します。そして成長とともにその人独自のバランスでフローラが出来上がります。しかし加齢とともにそのバランスは崩れてゆきます。

 


腸内細菌は大切なパートナー -食べ物と腸内細菌-
腸内フローラはとってもデリケートです。加齢以外に抗生物質など薬物の乱用、精神的なストレス、運動不足、そして人が毎日摂る食事内容などに大きく影響を受けるのです。では、私たちの食事と腸内細菌の関係はどのようになっているのでしょうか?

 腸内細菌と共生
腸内細菌は、人が産声をあげてから人生の幕を閉じるまで、特殊な環境である腸管で人の食べ物をエサとして棲みつき、人に有益であったり有害であったりする代謝物をつくり、日々人の健康に影響を与えています。

細菌同士では、善玉菌でも悪玉菌でもどちらか一方が増えれば他方は減少し、互いに拮抗して共存していますので、悪玉菌だけを取り除くことは出来ません。重要なことは『善玉菌を優勢にした菌叢バランスを保つこと』です。人にとって腸内細菌は上手に付き合って、共に助け合う大切なパートナーなのです。

 

もっと知りたい!
欧米型の食生活と脂質・動物性たんぱく質の割合

戦後日本の高度経済成長期の昭和30年代~40年代(1955年から1973年まで)に、日本人の生活は飛躍的に変化しました。それは「食生活」においても例外ではありません。
厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」によれば、脂質及び動物性たんぱく質摂取の割合が以前より増加していることがうかがえます。

厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」より

『総エネルギー中に占める脂質エネルギーの割合』
*1950年・・・約8%
*1985年・・・約24.5%
*2007年・・・約26%
◎ 35年の間に約3倍に増加
◎ 1990年以降は総エネルギー の4分の1を脂質が占める

厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」より

『総たんぱく質中に占める動物性たんぱく質の割合』

*1950年・・・約25%
*1980年・・・約49.8%
*2007年・・・約53%

◎ 30年の間に約2倍に増加
◎ 1985年以降は摂取量のおよそ半分が動物性たんぱく質

日本が世界と肩を並べるほどの急成長を遂げた時代に、穀物中心の食生活から欧米型の食生活(高たんぱく・高脂質)へと移行していった様子が、摂取量の推移からもうかがえます。
 

どうして腸は大切なの?

このシリーズでは、食べ物と腸内細菌のおはなしをわかりやすくお伝えしてまいりました。私たちが普段何気なく生活している中、「消化器官」は実に多彩な役割を果たしていることがお解かりいただけたのではないでしょうか?

人が食べ物を食べることにより、自分の意思とは全く関係なしに各種の臓器より酵素が分泌され消化活動が行なわれ、腸より体内に吸収される、まるで精密機械のような感じがします。

「腸」は人の体内の入り口であり関所とも言える役割を果たしています。そのため人の免疫機能も集中し極めて重要な器官であることがご理解いただけたのではと思います。

「腸」は人が睡眠をとっている間も人の意思、脳の指示に関係なく活動しており、その働きが人の健康を支えているといっても過言ではありません。
更に腸内に生息する「腸内細菌」の存在そしてその機能についても人の健康に関与していることがご理解いただけたことと思います。

「腸内細菌」は、人の為に腸内に棲んでいるわけではありません。腸内が温度・食べ物の確保等細菌にとって恵まれた住環境なのです。そして悪玉菌・善玉菌を問わず腸壁にびっしりと生息しているおかげで、日常空気中に浮遊する雑菌・病原菌等が入っても腸内に住む場所が無く、大抵は排泄される仕組みになっています。

人と「腸内細菌」はお互いに助け合うという「共生関係」にあり、その人固有の腸内細菌とうまく付き合うのも健康を維持するうえで重要なことといえます。

乳酸菌の新しいステージ

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