2019.11.19

私的腸内細菌論

第103回 腸内細菌と腸活

去る11/14、NHKテレビで『所さん!大変ですよ「大ブーム!?なぞの“腸活”」』というプログラムが放送されました。

健康情報番組として放送されたこの週の内容を簡単にまとめると

  • 最近“腸活”が大ブームになっている
  • 背景としてこの20年間で便秘患者が倍増するなど腸内環境の悪化が見られる
  • こうした現状のもと腸内細菌改善の“腸活”として自家製ヨーグルトを作る家庭が多い
  • しかしなぜか自作ヨーグルトの爆発が相次いでいるらしく現場を訪問取材し原因を追究する

といったところでした。

爆発の原因というのは、豆乳ヨーグルトを自作する際、「種(たね)菌」のほかに雑菌が混入し、そのためガスが多量に発生し発酵容器の栓を吹き上げて爆発状態になったというもので、一般家庭での発酵作業ではよくある現象でした。

実は、まったく同じ日に民放テレビの刑事ドラマ『科捜研の女』でも“菌活”が題材として採り上げられ、乳酸菌と納豆菌に関係する犯人を捜査する事件となっておりました。

劇中、台詞の中には「善玉菌、悪玉菌、日和見菌」といった単語も出て来て、腸内細菌が身近になってきたのを実感させられました。

 

“腸活する”ということは「腸内フローラ」を形成している、みさなんが持っている腸内細菌のバランスをいかに正常にコントロールするか、そして活性のある腸内発酵を持続出来ているか、に尽きます。

私たちの日常の食生活で出来ることは、腸内に棲みついている善玉菌のために、食物繊維の多い野菜を食べるとか、オリゴ糖の多いものを食べるとか、悪玉菌が増えないよう動物性たんぱく質や脂質に偏ってしまう食事をしないこと等にあります。

そして腸内細菌の発酵がスムーズに行われるよう、適度な運動を行い、ストレスを受けないようにいつも笑顔で前向きな気分で過ごすことを心掛け、きちんと睡眠を摂ることも求められます。

特別に何かを実践するということではなく、こういったことをまじめに守った生活をすることこそ、本当の“腸活人生”なのです。

 

ここで問題となるのは、番組の標題にある“腸活”のためにと、善玉菌のエサになるといわれているヨーグルトを摂ることの意味についてです。

ハッキリ申し上げるならば、乳酸菌、ビフィズス菌を使った市販のヨーグルトは、善玉菌のエサにはなり得ません。

試験管で実験をしてみた結果、それほど増菌しないということがわかっていますし、腸の中でエサに変身するなども考えられません。

ただし善玉菌のエサにこそなりませんが、腸内細菌のためになる物質は微量ながらあるのです。

それはヨーグルトを製造するとき、乳酸菌が発育増殖する際に放出する代謝物(乳酸菌生産物質)です。

代謝物を十分に放出するには、長時間の培養が必要となります。

しかし市販のヨーグルトの発酵時間というのは普通5時間以内ですから、わずかな代謝物しか得られません。

まだまだ代謝物が出るにもかかわらず、発酵を止めてしまうからです。

お店でヨーグルトを買う人は、やはりおいしいものを探して選んでいますから、市販のヨーグルトというのは、味や風味を良くすることを重視した作り方をしています。

大手乳業会社は、メタボローム解析まで行い「おいしさ」を探求しています。

おいしいヨーグルトにするためには、長時間の発酵は禁物なのです。

このようにして作られている市販のヨーグルトに、“腸活”として腸内フローラのコントロールをすることを期待出来ないことが、おわかりいただけたでしょうか。

 

市販されているヨーグルトは健康のためにはなりませんが、昔からみなさまに好まれる嗜好品であることに間違いはありません。

大型スーパーなどでヨーグルト売り場が華やかに賑わっているのを見れば、わかります。

さて、今回のタイトルを『腸内細菌と腸活』といたしましたので、次回は、私の長年の経験から、一般家庭でも爆発しないで出来る、かつ身体のためになる、簡単なヨーグルトの作り方をお教えいたします。

次回の本欄をお楽しみに。

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