2020.01.08

身近雑記

第106回 お正月の黒豆づくり

明けましておめでとうございます。

本年も私のブログをお引立ていただけますようお願い申し上げます。

みなさまも、お正月においしいおせち料理を召し上がったことと存じますが、今回は我が家のおせち料理についてこちらで紹介してみようと思います。

最近では料亭や専門店が提供する本格的なおせち料理が大人気のようですが、昔は各家庭相応に調理したもので、お正月三箇日くらいは主婦を台所から解放するための習慣であったと考えられます。

私の父は政治家でしたから正月は訪れるお客様も多く、そのため明治生まれの母は、大きい五段重ねの十箱に大量のおせち料理を用意しておりました。

除夜の鐘を聞きながらも、せっせと料理をしている母の姿が今でも目に焼き付いております。

88歳で母が亡くなった後に、数冊の調理ノートを見付けたのですが、そこには、母の一生に渡る調理作法が克明に綴られていました。

その中で、おせち料理として書かれている調理方法に従って、今でも年の瀬になると我が家では、黒豆と芥子蓮根と巻き寿司を作っております。

 

黒豆づくりは私の係ですので、せっかくですから今回は、秘伝の調理法を公開してみることにいたします。

明治大正昭和平成と作り続けられたレシピに基づく、いわば伝統の黒豆を、みなさまもお試しいただければ幸いでございます。

まず、原料の黒大豆ですが、12月20日を過ぎないと手に入らない丹波篠山の「飛切り丹波黒Lサイズ」を東京荻窪の穀物問屋から仕入れてきます。

そもそもこの黒大豆が、有名デパートでも入手出来ない特別品なものですから、黒豆料理がおせちの主役にもなり得るわけです。

基本的なレシピは以下の通りです。

 

《用意するもの》

  • 01)黒大豆700g
  • 02)水2,600cc
  • 03)砂糖570g
  • 04)醤油60cc
  • 05)塩小さじ1+1/2
  • 06)重曹8g(新しい黒大豆の場合は不要)
  • 07)錆びた釘約10本(洗って袋に入れる)
  • 08)乳酸菌生産物質10cc

私の場合、黒大豆3kgの仕込みをしていますので、材料はこの基本レシピに準じた割合で用意していますが、水だけは長年の勘を頼りに8,000cc程度としております。

なお、07)の釘は豆を黒く煮上げるためのもの、08)乳酸菌生産物質は、黒大豆特有の自然味を誘導するためとなります。

 

《作業の手順》

  • 01)厚手の大鍋(底が深いタイプ、いわゆる寸胴など)に分量の水を入れ、強火で沸騰させ、沸騰したら黒大豆以外の材料を全部入れ、釘も追加しいったん火を止める、この煮汁は15~20℃まで冷ます
  • 02)黒大豆を水でゆっくり丁寧に洗い、ザルにとる(ゴシゴシ洗うと皮が剥がれるので注意、なお冬場は水道水が冷たいため、温水で洗うと皮が剥がれにくい)
  • 03)ザルにとった黒大豆を5分間水に漬け、もう一度ザルに空け、01)の大鍋に入れる
  • 04)すべての材料が入った大鍋を室温に置き、そのまま10~12時間漬けておく
  • 05)大鍋を中火で沸騰させ、沸騰直前に火を弱くし、丁寧に泡を取る(泡にはアクが混ざっているのでしっかり取り除くこと)
  • 06)もう一度中火で煮立て、吹きあがってきたところで100ccの冷水をビックリ水として差す、これをもう1セット繰り返し、この間泡を取り続ける
  • 07)大鍋に落としブタをして、極弱火にかける(ガスコンロの最弱でも強いくらいなので五徳を使用すると良い、可能ならば電気コンロ300w程度の弱火にかけるのが望ましい)
  • 08)1~2時間後、大鍋がコトコトわずかな音を立てる状態にあることを確かめながら、煮汁が豆から1~2cm上にあるヒタヒタ状態となっていることも確認する(煮汁の蒸発と、鍋の中に温度差が生じるのを防ぐため、フタを取らずに煮込むこと)、その火加減のまま12時間以上煮続ける(8時間経過後に煮上がり具合を点検、煮汁が少なくなり豆の頭が見える状態のときはお湯を足す)
  • 09)時間が来たら火から下ろし、そのままフタをした状態で冷暗所に24時間置き、充分に味をなじませる(この間に豆の色も黒くなっていく)
  • 10)完成(煮汁でヒタヒタにした状態で小分けし、冷蔵保存)

重要なポイントとなるのは、04)室温に置く漬け時間、最重要ポイントは、08)長時間煮る際の火加減といえますので、どうぞご留意ください。

 

現在、市場で売られている黒豆は、日持ちを良くするため成分調整してあるのか、ただ甘いだけで豆の持ち味が感じられず、まるでお菓子のようです。

これでは、おせち料理の主役にもなり得る黒豆特有の味を味わうことが出来ません。

せめてお正月くらいは、伝統の味を楽しんでみてください。

前述の通り、私は毎年3kgの仕込みを行っています。

30ℓの寸胴半分くらいに出来上がりますが、12月30日は愛好家の方々への配達で大忙しとなります。

お正月は家族でスキー旅行に行くのでスキー場まで宅配便で送ってほしい、と言われたこともあるくらい、この黒豆と芥子蓮根が、多くの知人宅でお正月の定番メニューとなって、毎年心待ちにしていただいているようですので、元気なうちは作り続けようと思っております。

令和2年を迎え、明治時代から続く伝統の黒豆を食べていただいた方々にとって、元気な新年の幕開けとなりますことを願うばかりです。

戻る

ページトップへ