2020.05.22

私的腸内細菌論

第112回 免疫力向上を目途に伸びる発酵食品の人気

新聞によりますと、新型コロナウイルスの感染拡大で納豆やキムチなどの発酵食品の売上げが伸びているそうです。

これは、細菌やウイルスから身体を守る「免疫力」の維持増進のため、みなさまが積極的に買い求めていらっしゃるからに他なりません。

消費者庁はウイルスに対する効果を裏付ける根拠は認められていないと表明していますが、前回本欄でも採り上げた腸内環境とも関連している事柄ですので、発酵食品と免疫力の関係について、私なりに考えてみました。

 

現在、市場の注目を集め売れている商品は、キムチ、納豆、ヨーグルト、乳酸菌飲料、味噌等、とのことです。

まずキムチについてですが、こちらは韓国由来の漬物で、白菜や大根や人参など様々な食材を漬けて発酵させた食品です。

主に乳酸菌が働いて、酸味が生まれます。

さらに、長期間漬けたものには、アミノ酸などのうま味成分が生成されます。

これが乳酸菌の発酵代謝物質であり、腸に有効に作用する成分なのです。

往時の韓国では、各家庭に自家製のキムチのカメがあるほどでしたし、キムチを常食していて便秘の人はいなかったそうです。

今から50年も前の話になりますが、先代の研究所長・正垣先生と車に乗っていたとき、前をパネルバンのトラックで車体に乳酸菌飲料の商品名が広告されている車が走っているのを見て、正垣所長が「あれを飲むのなら、京都にある、よく漬かった漬物を食べる方が、よほど効果がある」と教えていただいたのを思い出します。

乳酸菌飲料やヨーグルトについては、その効果が期待出来ないのは、ご自分が携わった長年の研究から既に良くご存知でした。

 

次に納豆について、説明いたします。

何年も前になりますが、NHKのテレビ番組「ためしてガッテン」で、便通がテーマに採り上げられたことがあります。

便通に影響を与えるであろう食品5種の中で、一番良い結果をもたらしたのは、意外にも納豆でした。

番組中の実験では、20名の便通について、毎日納豆2パックを2週間続けて食べさせ、測定いたしました。

効果の検証では納豆菌が注目されましたが、結論として納豆の原料である大豆の食物繊維の効果ということで、ガッテンされたのです。

納豆菌は腸内で働くことが出来ませんから、これは正しい見解でした。

腸内環境を健全にする腸内フローラの善玉菌のためには、納豆に限らず積極的な食物繊維の摂取が必要なのです。

 

日本の食卓には昔から発酵食品が多く並び、常食とされています。

結果的に日本人は、知らず知らずのうちに多くの発酵代謝物質を摂っていることになります。

世界に誇る長寿国である所以はここにあると私は思っておりますし、ヒトの免疫力についても、日本人は高い免疫力を保持していると考えられます。

新型コロナウイルス禍において、日本の感染死者数が極端に少ないのは、世界の奇跡と言われています。

これらは日本人の食生活に起因している、と私は信じて疑いません。

1977年、米国で報告されたマクガバンレポートの「ヘルシーピープル」の一節が目標としていたものは、日本の食文化にあったことが、43年経ったいま、奇しくも証明されることとなったのです。

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