2020.09.30
身近雑記
第117回 腸活、健康効果が期待出来ないヨーグルトの活用法
新型コロナ禍の中、未だワクチンも特効薬もないとなれば、頼れるのは自分自身に備わっている免疫力だけだという認識が強くなっているようです。
そこで、免疫力に関係すると思われている腸内環境を、良好に維持する目的で、ヨーグルトが売れており売り上げも増加していると報道されています。
しかし残念ながら、NHK“ガッテン”が英断を下して明らかにしたように、ヨーグルトには腸活による健康効果は期待出来ない、という真実があります。
9月16日付四大新聞全面見開き2頁では、シンポジウム形式の記事広告で「ビフィズス菌でいつまでも健康に」「免疫力向上効果に期待する」というタイトルを掲げ、結局はビフィズス菌ヨーグルトを食べていただきたいという趣旨の広告が掲載されました。
新型コロナウイルスの話題で毎日のようにテレビに出演している先生と人気タレントによる大企業の広告ですから、これを見た読者の方が、スーパーマーケットでビフィズス菌ヨーグルトを選んで買われる姿が目に浮かんで来て、何だか虚しさを感じてしまいます。
そこで今回は、効果が期待出来ないならば、ないなりに、わずかながらでも効果が期待出来る活用法を提言してみたいと思った次第です。
腸内善玉菌であるビフィズス菌がもたらす腸活作用は、菌そのものからだけでなく、むしろ菌が発育増殖するときに放出する代謝産物から得られます。
ところが、市販ヨーグルトの生産工程における発酵時間は短く、わずかな量の代謝産物しか得られないため、身体への効果が期待が出来ません。
これを解決する方法は、購入してきたヨーグルトを自前で、さらに5日間37℃にて再培養することです。
こうすることで、身体に有効な代謝物質を多く含有したヨーグルトに変身します。
私は過去に、代謝物質データを求めるメタボローム解析おいて、一次代謝産物、二次代謝産物の解析を市販品のヨーグルトのケースでも行っており、その際明らかに数値が増加することを確認しております。
そればかりか、私自身そのヨーグルトを数ヶ月に渡って飲むことにより、有意差があることを体感により確認しております。
再培養で用いる培養器は、市販ヨーグルトがそのまま収納出来る小型のもので、かつ安定した37℃が設定出来るものを使用します。
いわゆるヨーグルトメーカー等は、使用出来ません。
注意すべきは、このヨーグルトを途中で別の容器に入れ替えることは、雑菌が混入するおそれがあるので、行ってはいけないということです。
さて、5日間再培養したヨーグルトについては、冷蔵保存してお早めにお召し上がりください。
きっと体感の変化に気付かれることと思います。
昔から市販のヨーグルトは、数種類の菌を混合培養することにより風味の良いものが作り出されていますが、おいしいヨーグルトが売れるから、という理由に他なりません。
しかし今回提案する方法では、その培養時間を延長するため、味は雑味のあるものになり市販時の味からは変化してしまいますが、代謝産物が混入した味となった分だけ、健康への効果に期待が持てるものになったと思っていただいて結構です。
いくら定評のある乳酸菌やビフィズス菌であっても、発育増殖させて代謝物質を十分に放出させなければ、「宝の持ち腐れ」であり「絵に描いた餅」なのです。
重ねて申し上げることですが、その菌がどんなに身体にとって良いとされる菌であっても、腸内フローラという菌社会に定住出来なければ、健康に寄与する物質は作れません。
ただし見方を変えれば、外から来た菌を排除しようとする腸の働きは、人間の身体を守るためになくてはならないものといえます。
もし間違って菌が定着すれば、食中毒等の病気の原因となり、命に関わることとなるからです。
これが苦労して腸まで届けたヨーグルトの中の菌の宿命なのですが、その救済方法としての今回のヨーグルト活用法、みなさま“ガッテン”していただけましたでしょうか。