2020.10.21

身近雑記

第118回 腸活ネバネバ食材と乳酸菌

50年余り前、私が研究所生活を送っていた頃の出来事です。

当時は今のように冷凍庫や、ご飯の保温ジャーもない時代で台所における保存状態が悪く、研究所員のために炊いたご飯がネバネバ状態になり糸を引くまでになってしまっていることが良くありました。

飽食などとは程遠い当時、若かった私はお櫃の中のご飯を水で洗って食べようとしていたところを、正垣所長に見付かってしまいました。

てっきり注意されるものと思っていましたら、「何をしている、こんな美味しくて身体に良いものを洗うなんてもったいない」と言いながら、なんと美味しそうにそれを食べられたのです。

私がビックリしていると、所長は「私は目だけではなく、舌や鼻の顕微鏡で菌の動きを観察している」と話されました。

そのときは、常日頃から感性の鋭さを身に付けつつ研究を重ねてこられた先代の姿の一端を垣間見た気がしました。

 

さて、最近よく耳にする「腸活」のシーンでは、ネバネバ食材で腸内環境を整えることが提唱されています。

オクラ、納豆、なめこ、山芋、モロヘイヤ、海藻のアカモク、メカブ等はまさにネバネバ食材にあたり、このネバネバ成分は水溶性食物繊維、ムチン、コンドロイチンでなんとなく健康に良いといわれています。

乳酸菌の仲間にも菌体が代謝して放出するネバネバ状の物質があって、これは多糖類のEPSといわれています。

 

先日、公共放送NHKの“ガッテン“が、ヨーグルトの乳酸菌による腸内環境改善には期待出来ないと、全ヨーグルトメーカーを敵に回してまでして今までの常識を改めましたが、唯一、ヨーグルトに含まれる“お助けマン”物質は有効であるということも放送いたしました。

乳酸菌が増殖するときに作り出すEPSというネバネバ物質は、具体的な“お助けマン”の一つであり、他にも身体に有効な多様な物質がたくさんあるということが、メタボローム解析で明らかになっています。

この例からも分かることは、健康効果を期待出来るのは、乳酸菌が生み出した代謝物による作用であり、菌体そのものによるものではないという事実です。

私の知る限り、学者の先生方で、学術的にこのメカニズムを認める表明をしている方が見当たらないのは、学術界のミステリーのように思えてなりません。

本来、学術の世界というのは、世界の人々の生活に利益をもたらすためのものでなければならないというのに、いやはや困ったものです。

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