2020.11.05

身近雑記

第119回 「トクホ」「機能性表示食品」への素朴な疑問

みなさんが日頃、口にされるサプリメントなどは一口に健康食品と言っても国が定める分類があって、それぞれの商品がいずれかに属しているということはご存じかと思います。

そういった分類である、特定保健用食品(トクホ)の取得や機能性表示食品の届け出のための核心となるものに、臨床試験があります。

臨床試験とは、ボランティアの健康な人や患者さんに協力していただき、新しい薬の候補や、治療法の効果や安全性を確かめる試験のことをいいます。

この試験の際、薬に限らず健康食品についても、健康に効果があるかないかについては、「有意差」という言葉で表現されます。

つまり消費者庁の審査において、効果があるとされる場合は「有意差が認められる」が、ない場合は「有意差が認められない」として、不合格となるわけです。


 

ここで「トクホ」として認められている乳酸菌の商品を採り上げ、検証してみたいと思います。

快便を促す効果によって「おなかの調子を整える食品」として、実際にトクホを取得している生きた乳酸菌・ビフィズス菌を使った商品があります。

しかし、昨年11月に放送されたNHK「ためしてガッテン」では、全てのヨーグルトメーカーの商品を並べ、生きて腸まで届けた菌の健康効果には期待出来ないとして、今まで消費者が思い込んでいた常識を改めたという事実があります。

いったいどちらが正しいのでしょうか?

私はどちらも正しいとは思います。


 

その理由は、トクホの審査対象が例えば乳酸菌カゼイ・シロタ株といった、株の単位に留まっており、菌が作り出す代謝物質までには及んでいないことにあります。

乳酸菌・ビフィズス菌の生産工程では、当然のことながら代謝物質が作り出されているわけで、臨床試験の段階では、代謝物質による健康効果が有意差となって表れており、こうした齟齬が生じるのでしょう。

しがたって審査においては、有意差について、菌体に残存している代謝物質が寄与している結果かどうかの検証が必要となってくると思われます。

 

巷では、便通改善には腸にビフィズス菌〇△株、とか、乳酸菌×〇株、といったいう表現で、いかにも菌体そのものだけで効果が得られるかのような広告がまかり通っています。

しかしこれは、たとえば、乳酸菌代謝産物における〇×成分の関与によるものである、というような正確な表現をするべきであると思います。

昨今では、菌の代謝物質を分析するメタボローム解析が一般的になっており、健康への関与成分として特定することが可能になっております。

ぜひとも、健康食品における乳酸菌・ビフィズス菌の審査範囲を、代謝物質にまで広げていただけるよう提言する次第です。

私の見解を申せば、乳酸菌・ビフィズス菌それ自体だけでは、生きた菌だろうと殺菌乳酸菌であろうと「おなかの調子を整える食品」としての効果は期待出来ないだろう、そこには代謝物質という「助っ人」のチカラが必要だ、ということになります。

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