2013.09.02

私的腸内細菌論

第18回 純正醍醐論(その1.その2.その3)

純正醍醐論は長編ですので3編に分けてお届けします(その1)




乳酸菌生産物質の生みの親である正垣一義氏は、浄土真宗本願寺第22代法主の大谷光瑞(こうずい)師から、「生きた菌ではなく、これからはその代謝物が大事である」という教えを受け、乳酸菌生産物質の開発を手がけました。仏典の中の「醍醐」がその礎となっております。
純正醍醐論書物


今回はその「醍醐」についてお話させていただきます。日頃より「大谷光瑞全集」を愛読しております私の論説として、お付き合いいただければ幸いです。題名で「純正醍醐論」としましたのは、私の考える純正醍醐論という事でありまして、なかなか乳酸菌生産物質の礎としての醍醐について詳しく説明されているものがないため、このような題名にさせていただきました。


最近読んだ本の中に、「体にいい食べ物といえば最後に醍醐にいきつくが、しかし現在は存在していない」との事が書かれておりました。


醍醐の解釈には色々とありますが、2500年前に釈迦の時代に存在していた醍醐を再現すべく、大谷光瑞農芸化学研究所にて1945年にはすでに乳酸菌生産物質の前身となるものは作られておりました。


それを踏襲したものが現在の、乳酸菌生産物質です。


さて、醍醐については「大般涅槃経」の中に大涅槃経に至るまでの教典の変遷が述べられていて、その経緯を解説するために、乳、酪、生酥、熟酥、醍醐の5つを持って一切経をわけております。五味相生の譬えといわれています。醍醐にて最上なりとされています。


醍醐について「もし服するものあれば衆病皆除く。あらゆる諸々の薬、皆その中に入る」と記されておりますが、この解釈についてはなかなか難しいようです。


大谷光瑞師は、大谷光瑞全集第3巻の中で「大般涅槃経はピシっと行く所は行かんとならんから余程むつかしい、聴き損うたらいかん」と言われております。しかし醍醐についてピシっと理解している人はなかなかいないでは……、最近の本を読んで、私は感じております。

私考欄第9回「光英科学研究所のルーツと大谷光瑞農芸化学研究所」にもありますが、正垣一義氏は大谷光瑞師との出会いにより、仏典にある純正醍醐を再現することに力を注ぎました。その仕事を継続してさせていただいている者として、一文たりとも省略することなく醍醐について理解したいと思います。この話の続きはその2でお話させていただきます。



(その2)



それではここで、乳酸菌生産物質が純正醍醐たるためのポイントについて、私の考えをお話させていただきます。



漢文 「醍醐」
英語 “manda”
サンスクリット語
※=梵語(インド・ヨーロッパ語族のインドアーリア語源に属する語)
サンスクリット語の醍醐


仏典の中で、乳→酪→生酥→熟酥→醍醐とあり、五味とされています。それぞれの味ということではなく、あくまで醍醐に至る道筋です。



乳酸菌生産物質は、この考えを礎に誕生しました。ここでは乳となっておりますが、現在は乳の代わりに大豆を使っています。酪にあたるのが豆乳です。


乳酸菌生産物質は、豆乳に共棲培養した乳酸菌のグループを植えて培養をスタートします。これが生酥にあたります。発酵が活発になり乳酸菌の増殖がピークに達したのが熟酥、それをさらに長時間発酵させつづけたものが乳酸菌生産物質、醍醐といえます。


この発酵において、一般的に生菌数は約12時間でピークになり、培地の中の酸度が上がり、菌のための栄養源も減少することから、増殖できる環境ではなくなって生菌数は下降線をたどります。しかしそのまま100時間以上発酵を続け、熟成させているという説があります。味噌の熟成と同じという人もいます。


しかしそう簡単には醍醐はできない、と私は考えております。熟酥から醍醐に至るには生酥の段階に重要な要素があると考えているからです。


それは発酵をスタートさせる菌の形態にあります。ヨーグルトなどの発酵食品は単菌を1~3株混合してマザースターター(発酵のために調製した種菌)としていますが、この状態では菌は共生していません。乳酸菌生産物質はマザースターターの段階で、共棲している菌をチームの状態で使っています。


そもそも醍醐は、発酵の容器にすでに共棲状態にあった菌がいて、それが時間をかけて発酵したものだと推察されます。そこでは、まるで腸内に様々な善玉菌が共生しているかのように、菌同士がチームを形成していたはずです。熟酥から醍醐に至るまでの過程で、この要素を見逃してはならないと私は確信を持っています。


なお弊社の場合、発酵中の生菌数は18~24時間を経過しても1グラムあたり5億~100億個を保ち、なおかつ発酵スタート時と発酵完了時の菌の群集構造についてもPCR-DGGE法で一致していることを確認しております(日本食品分析センター調べ)。


これは、発酵中において、マザースターターにあるすべての菌が、醍醐をつくるためにくまなく働いたという結果を示しています。なお、熟酥から醍醐に至る時間(発酵中)、菌はそれぞれに代謝物を作り続けると共に、菌同士の相互関係により二次的な代謝物も生成します。出来上がった乳酸菌生産物質の中に多種の代謝物の存在が存在することが、慶応大先端研HMTによるメタボローム解析により明らかにもなっています。


これらの知見に基づいた私の考察については、その3でお伝えしたいと思います。




(その3)



「乳→酪→生酥→熟酥→醍醐」の考えは乳酸菌生産物質の礎となっています。


醍醐イラスト

熟酥から醍醐に至る時間(発酵中)、菌はそれぞれに代謝物を作り続けると共に、菌同士の相互関係により二次的な代謝物も生成しているのです。これは乳酸菌生産物質の製造過程における「酪」の段階で、共棲状態の菌のチームで発酵をスタートさせているからこそ実現できるも
のであり、ここが単菌を用いることとの違いであると私は考察しております。


そもそもメチニコフの時代に細菌の単離技術が完成し、菌の単離と純粋培養が可能になったのですから、2500年前の醍醐の時代には、単菌を用いる技術も確立されていないのです。


つまり醍醐の完成は、発酵の容器にバランスよく住み着いた(共棲状態にある)菌の為せる技と考えられます。似た例として、酒蔵では蔵に昔から住み着いている菌群が、酒造時に酒の味を美味しくしているそうです。蔵を建て直したら、酒の味が変わったという話も聞きます。


ヒトの腸内でも、お腹を発酵タンクとして純正醍醐が作られていると言えるのではないでしょうか。なぜなら、腸内菌叢(腸内フローラ)が放出する代謝物が、その人の健康を守っているからです。特有の一種類の菌が働いているという訳では毛頭ありません。


先日の新聞で、「健康食品表示の緩和」という見出しの記事を読みました。政府は健康・医療分野での国際競争力を強化するため規制緩和を打ち出し、健康食品に効果をPRする機能性表示を認める方向で、規制改革会議で議論が重ねられているとのこと。記事は「それだけ食べて健康になる食品はない。規制緩和が国民の期待感だけをあおる結果にならないためにも、リスクに目を向け、信頼できる表示を求めたい」と結ばれていました。私も同感です。何か特有の一つを摂ることだけで健康になるというものは無いと思っております。


醍醐の考えに基づいた乳酸菌生産物質は、多種の成分を含み「総合的に健康を目指す」ものです。もっと多くの方に、それこそ世界中の人々にそれを知っていただくことが、私の使命なのではないかと思う今日この頃です。私の考える純正醍醐論、ご理解いただければ幸いでございます。

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