2015.07.16

私的腸内細菌論

第36回 ラジオ放送「ジャム・ザ・ワールド」

去る6月19日、六本木ヒルズにスタジオのあるFM局より「腸内フローラについてお話しをしてほしい」との依頼がありました。


しかもその翌日に収録、一日置いた月曜から金曜までで毎日オンエアするとのこと。


ジャム・ザ・ワールド
なんでも、曜日毎に知名度の高いパーソナリティーがおり、聴取率も高い番組なんだそう……。そうと聞けば、私達の持ちうる腸内フローラと健康に関する情報をお話しする良い機会と思い、出演を決めました。


一般の方に分かり易い内容を心掛けつつも、50年間研究してきた者としての立場で解説をしてまいりました。


ところがです。オンエアを聴いてみると、私が一番に主張したいと思っていたポイントがカットされて放送されていました。また、最終日のパーソナリティーの方のコメントも、私のお伝えしたいことと違う結論を出しておられました。



もちろんメディアにもいろいろとご事情があるのと、私の説明不足によるものとも思いますが、世の中にこちらがお伝えしたいと思う情報を伝達する難しさを痛切に感じた次第です。



そのカットされた部分を、せめてこのブログをご覧いただいている方々にはお知らせしたいと思います。


まず、「ヨーグルト等に含まれる乳酸菌を生きて腸まで届けることが大事」との説明が巷間伝わっていますが、腸に届いた乳酸菌は、その後どうなるの?ということについてです。


常在菌は排他的生きて腸に届いた乳酸菌は、残念ながら定着することなく排出されてしまいます。その理由は、ヒトの大腸には生まれたときから所有している常在菌(光岡先生いわく“先住民族”)がフローラ状態になって生息しているため、外来の菌は善玉菌であろうと排除され住み着くことが出来ないから、です。そしてせっかくの菌も住み着いて増殖しなければそのときに代謝されるはずの物質も作られないままに排泄されてしまいます。


この代謝されるはずの物質こそが、ヒトの健康に大切な物質なのです。


また、最近「○○と戦う乳酸菌」という食品も出ていますが、腸内フローラには100兆個以上の細菌がいるわけで、そこへ10万分の1くらいの量の菌を入れたところで相手にはならない、ともいえます。


光岡先生は著書の中で、ヨーグルトに含まれる有用菌をあてにするなら「バケツ一杯のヨーグルトを飲む必要がある」と書かれています。ヨーグルトを否定する訳ではありませんが、腸内フローラを美しくするためとはいえ、到底難しい行為だといえます(学術的にも常識となっています)。


そして、NHKスペシャルでも報道された「腸内フローラが作り出す物質が人の健康を決定する」ということを補足する意味で、以下のことについてもお話をさせていただきました。


「私は50年間、体の外で、ヒトの腸内フローラに限りなく近い善玉菌のフローラを再現する研究をしてきました。フローラの作り出すその物質を皆様に愛用していただいております」しかし、残念ながらこの言葉もカットされてしまいました。



とはいえ、今回のラジオ出演は残念なことばかりでもありませんでした。今回の経験があったからこそ、世の中のより多くの方々に「乳酸菌生産物質」について知っていただき、そして健康長寿を全うしていただくために努めること、それが私の天職であると改めて思うことができました。そして、自分の命の続く限り積極的に行動しよう、と心に誓うことができる良いきっかけになったと思っております。


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