2015.10.30
私的腸内細菌論
第40回 物理的腸内フローラ考察の総括
前回本欄では、大腸における腸内フローラと、乳酸菌生産物質を得るための体外の発酵タンクにおけるフローラを、物理的観点から考察しました。その結果、発酵の作用としては極めて類似していることを明らかにできた、と思っております。
ただし、両者には異なるところもあるのです。
それは、腸内フローラには善玉菌のほかに、悪玉菌と日和見菌が存在することです。そして正常な発酵状態では善玉菌がコントロールしているのですが、異状状態ですと悪玉菌のコントロールするところとなります。
言い換えれば、発酵ではなく腐敗となってしまいます。したがって、私たちは常に善玉菌をコントロールできるよう腸内環境に気を配ることが必要となります。
それは、ヒトの健康を決定する代謝産物を常に産生しなければ、ヒトの健康が保てないからです。

有識者の方の中には、体外タンクで善玉菌を発酵することなど出来るはずがない、というお考えの方がいらっしゃいますが、そもそも私たちの所有している善玉菌に同じものは存在し得ませんし、まったく同一の菌株である必要もないのです。
ただし、体外タンクに使用する菌は数種類の善玉菌が共棲状態でチームを形成している、という条件が必須となります。
その理由は、腸内フローラの善玉菌はやはり、共棲状態でチームを形成して腸壁に張り付いているからです。これには、ちゃんと同一条件下で発酵する必要があるのです。
この体外タンクにおける発酵から得られた代謝産物(健康物質)は、腸内フローラをコントロール出来る能力がありますので、腸内環境が悪くなって悪玉菌優勢になりかけたら、この代謝産物を与えることで善玉菌優勢に変換することが可能となります。

これはについては今般、弊社と慶応大学先端研(HMT)により得られたメタボローム解析により明らかになった、352種類の代謝産物から解明されていることなのです。
過去の記事