2016.01.28

身近雑記

第42回 黒豆

おせち料理「黒豆」についての本稿、本来、昨年末に書く予定でしたが年が明けての披露となりました。


19年前に他界した私の母は、こまめに大学ノートに料理のレシピを書く人でした。その中におせち料理の黒豆の作り方があり、昔からの古来の豆の煮方が克明に書き残されています。

母の黒豆
他界した年の暮れにレシピに従って黒豆を作ってみましたら、それが予想以上に好評だったもので、それ以来、黒豆作りが毎年暮れの定例行事となってしまいました。


実はこの黒豆の輪はどんどん広がっており、今では3kgもの量を仕込みするほどになっています。

つまり、お正月が近づくにつれ「おせちの黒豆のところは空けてありますから」とオーダーが入ってくる始末なのです。


黒豆は丹波産の最上級のものを問屋さんから仕入れてきます。しかし、どういうわけか12月20日過ぎでないと入ってきません。


他の具材もなるべく昔に近い自然のものを使います。豆漬けから完成まで4日間かけます。


おせちの黒豆ならばみなさんも、ビン詰やら高級店のもの等食べておられると思います。しかし、見かけは綺麗ですが味は甘みだけでシンプルなものになりがちです。


賞味期限を長くするためでしょう、豆そのものの味を吟味するには程遠いものとなっています。


私の場合、冷蔵保存でなるべく三が日以内には召し上がってください、と言葉を添えてお渡しするようにしています。


口に含むと皮もトロッと溶け、得も言われぬ黒豆の自然味が口の中に広がります。



毎年さらにおいしいものを、と工夫を凝らしているせいで、私の方から「今年の黒豆の味はどうでしたか?」と尋ねてみるようになってしまいました。


日本の伝統料理池波正太郎の鬼平犯科帳でも鬼平がおいしそうに料理を食べるシーンがありますが、昔の人は少ない具材を工夫して、現在では味わえない料理を食べていたのだと思います。


われわれの舌は、添加剤で、その真の味を判断できないよう退化してしまっているのだ思うと、残念でなりません。


昔ながらの味というのも捨てたものではありません。貴重なものです。



もちろん、昔ながらの乳酸菌生産物質「醍醐」……。こちらも、さらに貴重なものと信じております。


戻る

ページトップへ