2016.08.10

身近雑記

第51回 「不老‘腸’寿」編集後記(その3)

tvcmテレビCMで、老舗の乳酸菌製薬会社が「腸内フローラ」を持ち出して整腸に関する宣伝をするようになりました。


「腸内フローラ」の価値観が根付いた証拠だと思います。


それ自体は結構なことだと思いますが、腸内フローラを改善することが出来ないのに、あたかもそういった効果があるかのように思わせているのは、時代錯誤としか私には思えないのです。


以上、前回の補足として申しましたが、次はヨーグルトにまいります。


ヨーグルトの場合、少し話が違ってきます。


というのも、ヨーグルトを製造するときに2~3種類の乳酸菌やビフィズス菌を使うのですが、この菌が発育・増殖する際に限られた機能性にはなりますが、乳酸菌生産物質を放出するからです。


しかし、充分な発酵時間をかけることは製造コストを鑑みても出来ないので、量的にはわずかにはなりますが、ヨーグルトの中には乳酸菌とともに乳酸菌生産物質が存在しているのです。


ですからこの場合、まったく腸内フローラに影響を与えないとは言えません。


食べる量や個人差によって異なりますが、効果が出る場合も考えられます。


ここで重ねて申し上げたいのは、ヨーグルトの中に含まれる乳酸菌やビフィズス菌は、腸に辿り着いたところで何かしらの役目を果たすわけではないということですので、しっかりとご理解ください。


毎日ヨーグルトを買って冷蔵庫に保存している家庭は多いと思います。


ヨーグルトが好きだから買っているという方もおられますが、やはり健康のためというところも心の奥底にはあるのでしょう。


しかし誰にでも平均的に腸内フローラをコントロールするチカラは、ヨーグルトにはありません。


自著にも書きましたが、料理やケーキづくりに使うのが賢明です。


NHKスペシャルの目玉のテーマであった便移植は、番組の中では夢の治療法として扱われました。


取材対象となったアメリカの方で腸の病気により明日をも知れぬ人が、この治療を受け2~3日でピンピンと元気になった様子が放送されました。


本当に夢のようなお話でした。


日本の著名な大学病院でも、便移植の研究が進んでいるとの報道でした。


しかし、この療法を確立するには、その前に腸内フローラの完全なる解明が不可欠です。


異状な腸内フローラにより重症になった人に、緊急的対処療法を行い一時的に腸内フローラが改善したに過ぎません。


あのアメリカの女性が永続的に症状が改善したとは、思えません。


それは、あの女性の腸内フローラの状態が正常になっていないからです。


死ぬまで何回も何回も便移植を続ける必要があるという点では、人工透析と同じことなのです。


病は元から治さなければ駄目と昔の人は言っています。


腸内フローラにいる腸内細菌の様子を研究してその異状から治さなければ、確立した療法が完成したとは考えられません。


lamplightしかし、その研究の火は今にも消え入ってしまいそうな状況です。


23年前、光岡知足先生グループによる理化学研究所における腸内フローラシンポジウムの研究が中止されたことより、日本では腸内フローラの研究は続けられておりません。


現在の遺伝子工学にて腸内細菌を分析することは出来るようになりましたが、その技術では研究の火を再び灯すことはそれこそ夢のようなお話です。


科学は進歩しなければなりません。


学術界においても、世界的レベルで非常に残念なことです。

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