2016.11.30

身近雑記

第56回 昔の乳酸菌生菌剤と現在の乳酸菌生菌サプリメント

弊社は戦前の昭和12年に東京で潤正ソキン株式会社を設立し、乳酸菌由来の胃腸薬「ソキンL」を販売していました。


当時は粉末状の生菌剤で最も強力で使用期限も長く、最先端の薬品と認められ、関東軍の指定薬品として信頼を得ており、8種類の乳酸菌共棲培養による生きた乳酸菌の製薬という地位を誇っていました。


not very先代の正垣所長は大正3年(1915年)京都で「エリー」を発売以来、22年間におよぶ研究によって、乳酸菌の製剤として完成されたものであると自負していました。


ところがです、中国大連にあった西本願寺関東別院内の大谷光瑞農芸化学研究所所長の大谷光瑞師と出会ったことで、その価値観が180度変化することになります。


光瑞師に「貴方の研究はまだ途上にあります。仏典の大般涅槃経の中に乳酸菌発酵の最終のものとして醍醐なるものがあります。まだ貴方はそれを極めていません」とアドバイスされたのです。


そうして、光瑞師は正垣氏を次長に任命し醍醐なる乳酸菌生産物質の研究を行い、16種共棲培養にて長時間培養の乳酸菌発酵代謝物質を完成させたのです。昭和20年(1945年)のことです。


ここでやや遡りますが、正垣所長が完成させたソキンLについて検証してみましょう。


当時、その効果は絶大で、軍にも認められていました。しかしソキンLは、生きた乳酸菌の製剤です。


supplement sokinL現在の生きた乳酸菌製剤を顧みれば、そのような著しい効果が認められるものとは考えにくいのですが、いったい何が違うのでしょうか?


これについて考え抜いた結果、私はその原因を見付けました。それは、製剤の粉体加工技術にあったのです。


当時はまだ、フリーズドライの技法は存在していません。


ですから、液体培養した発酵液を粉体にするには賦形剤としてのデンプンに吸着させて、それを乳酸菌が死滅しないような温度(45℃以下)にて乾燥させたものを粉末にしたのです。


そのときに(ここが肝心なところですが)、培地の牛乳を発酵させた液体をそのまま加工したのです。


当然のことながら、牛乳の中には発酵代謝物質が含有されていたのです。


8種類の共棲培養により生き抜いた強い乳酸菌体を目標にしてはいたのですが、実は発酵乳中の代謝物質が効果を出していたのです。


対して、現在の製法はフリーズドライで行われます。


フリーズドライの過程で発酵液は洗い流され、遠心分離によって、きれいな菌体だけが残るのです。


肝心かなめの代謝産物(=乳酸菌生産物質)は、すべて捨てられてしまいます。


ゆえに効果が期待できないという理屈がお判りいただけましたでしょうか?


現在、昔のような粉体加工はどこでも行われてはおりませんので、生産物質が存在しない形で乳酸菌製剤が出来上がります。


乳酸菌を強くして長く生きる目的で生産を行いはしたものの、敵は本能寺にあったというわけです。


昔のソキンLには、8種類の共棲培養ながら、生産物質はたしかに存在しており、牛乳に含有された乳酸菌代謝物によって体感が得られていたのです。


現在の生きたビフィズス菌や乳酸菌のサプリメントには、きれいに洗われた菌体が使用されています。


各乳酸菌メーカーは、商品の販売会社に原料として、その形で供給しているわけです。


そのきれいな菌体は、発育し増殖するときに、代謝産物を出す工程がありませんので、体に作用する生産物質は得られません。


いくら活きの良いビフィズス菌、乳酸菌であっても発育、増殖し定着できないとなると、そのまま所払いになる運命であり、ヒトの健康に寄与することは到底出来ないというのが真実です。


解析してみて、みなさまもなるほどとガッテンされることと思います。


このように弊社の歴史を振り返ってみて、思わぬ発見をした次第です。


ところで、生きた乳酸菌を売りにしているサプリメントで期待通りの体感が得られた方がおられましたら、商品の原材料名の枠内表示を確認してみてください。


ひょっとすると、そこには乳酸菌生産物質と明記されているかもしれません……。


しばしば、みなさまもご覧になられるであろうテレビCMの老舗商品も、昔は期待通りであったのかな、などと思いながらテレビを見ている今日この頃です。

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