2017.02.07
身近雑記
第59回 光岡知足先生との対談(その3)

現在巷では、ラーメン等のメジャーな食品やチョコレート等の菓子に至るまで、競って乳酸菌を添加するようになりました。
私が研究所の研究生であった57年前、正垣所長は常日頃こう申されていました。
「今は乳酸菌と言っても誰も相手にしないが、そのうち乳酸菌がなければ夜も明けない時代がきっと来る」と。
やっとその時代が来たと喜びたいところですが、私は「俺のとは、ちょっと違うなあ~」と申したいのです。

消費者は、乳酸菌というだけで健康になれると思い込んでしまいます。
効果が期待通りにならないとは誰も知りません。
しかし消費者の期待に応えられない状況が続けば、ブームは一過性に終わってしまう可能性を孕んでいるのです。
そうあってはなりません。
なんとか、乳酸菌の作り出す腸内フローラ物質である「乳酸菌生産物質」こそが期待通り健康に役立つものである、と消費者の方々に理解を深めていただく必要があるのです。
そのためには、光岡先生のバイオジェニックス論を世に啓蒙するしかありません。

これが、いわゆる「生きた菌信仰」なのです。
この表現には、対談の際、先生にも同意していただきました。
「最近の遺伝子技術は、機械が出した答えを鵜呑みにして前へ進もうとしている」
「培養に培養を重ねて基礎技術を会得した人でなければ、そのプロセスは解明できないはずだ」
対談にて、先生はそう申されました。

現在、光岡先生は、学術界の最高位におられます。
それゆえに、持論を強引に展開できないお立場でもいらっしゃいます。
だからこそ識者の方々には、プロバイオティクスとバイオジェニックスを同じ土俵に乗せて、どちらがヒトの健康に有効に寄与しているか真摯な態度にて評価してほしいのです。
そうすればプロバイオティクス信仰のマインドコントロールから離脱でき、光岡先生の提唱されるバイオジェニックス論というものが見えてくるはずです。
私はこの対談で、先生の心から湧き出る熱い主張を痛いほど感じました。
また、本当に健康に寄与しているものは乳酸菌そのものではなく、乳酸菌のハタラキによる乳酸菌生産物質であることを消費者誰もが知っている世の中に変えていく使命感を強くした次第です。
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