2017.09.19
身近雑記
第69回 鶏と乳酸菌生産物質

なんでも、そちらで飼育している1,000羽の鶏のうち80羽に飼料として乳酸菌生産物質を与えているとのことでした。
早速、殻を割って形と色とを確認してみますと、しっかりした黄身で高さがあり、色もオレンジ色の鮮やかさがありました。
卵そのものを味わうのであれば、卵かけご飯がいちばん適していると思い、温かいご飯にかけ試食してみると、旨みと風味がたいへん豊かであることに驚かされました。
次は卵焼きを作ってみて、その焼き加減、焼き色を見たいと思っております(もちろん味見もいたしますが)。
そういえばかつては、鮨屋の腕前を見極めるには、店に入ってまず最初に卵焼きを注文してみて、その味で判断したものです。
今は卵焼きも大量生産している工場から仕入れていたりしますので、その手は使えません。
鮨屋というと最近では回転寿司が主流になりつつあります……鮨を食べながら風情を味わう文化はどこへ行ってしまったのでしょうか?
40年も前の話になりますが、奈良県大和郡山市にあった10,000羽の養鶏場にて、長期間に渡り飼料に乳酸菌生産物質を入れて飼育試験を実施したことがあります。結果として鶏が卵を産み始めるのが早くなり、産まなくなるまでの期間は長くなり生産性が向上しました。
病気になる率も低くなり、鶏の健康状態も良好になり、鶏糞の臭いも少なくなり、近所からのクレームもなくなりました。
これは事業になる、という判断をして容器やパンフレットの作製に着手し、まずは四国の養鶏場からスタートさせることになったのです。

全国的に飼料用薬品を販売している、現在も大手薬品会社として知られているT社からの圧力がかかり、販売計画はたちどころに頓挫したのです。
その際、お役所と製薬会社の深い繋がりを思い知らされた次第ですが、これが解消されたとは考えにくいのが現状です。
表面上、天下りも改善されてきたようにみえますが、実質的にはどうなのでしょうか……?
それ以来、私は飼料関連の仕事は敬遠してまいりましたが、時代は移ろい昨今、流通革命によって消費者と生産者が直結するようになりました。
それゆえ、おいしい卵を好んで食べる消費者、それに応え、おいしい卵を供給する生産者、双方とも味や品質にこだわる者が多く現れる時代となったのです。
やっと乳酸菌生産物質の出番が来たのだと、長い年月とこれまでの経緯を、感慨深く振り返っている今日この頃です。
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