2017.12.26
光英科学研究所について
第74回 光英科学研究所の産業革命(その2)
前回に続き製造工程が機械化された話を、今回からはより具体的に順を追って説明してまいります。

ここで保管・開発作業が行われている多くの元菌の中から、和光市の製造工場で使用する元菌群(16種35株から成る菌群)を取り出します。
全てはこの作業から始まるのです。

この試験管1本の中には2~4種の乳酸菌がチームを編成しつつ共棲しており、いくら培養を繰り返しても、その力関係が変化しない状態の強固なチームとなっているのです。
そしてこの試験管群の中から、生産用として、16種35株の共棲状態にするべく目的の試験管を抜き取り、寒天培地に棲み着いている乳酸菌群のコロニーから生産に供するため液体培地に移植する作業を行い、最終的には試験管37本にまとめます。
これで、和光市の工場に持ち帰るためのマザースターターが出来上がります。
スターターとは乳酸菌を発酵させるための元菌群のことであり、豆乳の培地が大量に入っている発酵タンクに添加し発酵を開始(スタート)させるために使うのですが、普通はタンク容量の0.5%~5%くらいの量が必要となります。
つまり、いきなり1,000kgの発酵タンクに、試験管容量分の100g単位のスターターを添加しても発酵が始まるわけではありません。
多くて50kg、少なくとも5kgの元菌群のスターターが必要なのです。
その量を満たすため、マザースターターから今度はさらに量を増やしたバルクスターターと呼ばれるものが必要となります。
したがって、千葉中央研究所から持ち帰ったマザースターターは、さらにkg単位に到るまで培養を重ねて量を増やします。
これが、1,000kgのタンクの発酵を開始させるためのバルクスターターとなるのです。

では、工場の生産におけるマザースターターの必要量から、私たちの腸内発酵のためのスターターに思いを馳せてみましょう。
ヒトの腸内タンクの大きさを1kgとすると少なくとも50gのスターターが必要であり、これを市販の“生きた乳酸菌”サプリメントに置き換えてみれば到底、腸内発酵には至らないことがイメージできます。
ましてや、生まれてからずっと棲み着いているそのヒト固有の腸内細菌が共棲している発酵タンクなのですから、まったくスタートがかからないであろうことがわかります。
通過菌として体外へ排除されてしまう所以です。
このことからも、生きた乳酸菌ではなく乳酸菌生産物質として腸に取り入れる必然性が理解いただけることと思います。
さて本年の私考欄はこれで終わりとなります、一年間お読みいただき誠にありがとうございました。
年が明けましたら、弊社の本社工場における製造工程について、さらに詳細にお知らせするつもりです。
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