2015.01.25

自分史

第8回 尺八と乳酸菌と物心一如

今回の表題は、「尺八と乳酸菌と物心一如」とさせていただきました。一見、何のことだか、まるで禅問答のような表題でございますが、今回のブログを終わりまでお読みいただければご理解いただけるかと思います。



尺八と乳酸菌正垣所長は乳酸菌の研究のみならず、尺八演奏の大変な名人でした。「正垣郷童」という名前を持ち、日本でも有数の腕前であったと聞いております。


所長は若いころから尺八が大好きだったそうで、京都の実家(そのころは研究所も京都にあり、研究所の敷地内に居宅があったそうです)で尺八の練習に励むあまり、家族から「うるさい」とよく注意されたそうです。


仕方がないので、押入れの中で頭から布団を被って練習したり、早朝に近くの銀閣寺の境内に出かけて練習をしたそうです。冬の京都の朝は冷たく、長時間吹いていると、尺八の先から出る唾が「つらら」となって地面まで届いたものだ、とおっしゃっていました。


ある日、所長から「新橋演舞場まで連れて行ってくれ」と言われ、車でお連れすると、演舞場の裏口から入り、上演中の舞台の袖に平然と据わって尺八を演奏されました。突然の事にビックリしながら楽屋で待機したものです。楽屋周辺では、観世栄夫(能役者)さんが出番の用意をされているのを目の当たりにし、有名人を前に更に緊張しました。

その後も月に一度くらいのペースで、琴、三味線の日本トップの方が正垣所長の元に集まり、共に演奏会をしておられました。

正垣所長は乳酸菌を培養する時にも、菌の近くで尺八を吹いておられました。

所長から何の説明もなかったので、「なぜ菌の培養に尺八を吹かれるのだろう?」と、その当時は疑問に思っていました。


尺八の音が菌の発育等に大きく影響する事を知るに至ったのは、ずっと後になってからです。前の項にも書きましたように、所長は五感に長けていたため、尺八を乳酸菌に聴かせることによる変化が判別できたのではないかと思います。
花とピアノ

現在では、生物に対する「音」の影響は広く知られております。
蘭などの高級生花、ハウス野菜、きのこ栽培、酒造、ワイン熟成等に音楽を聞かせる方法が取られています。
またNHKの番組でも、シャーレで菌を培養する際、シャーレの周辺に炭素の粉を巻くと菌の発育が促進する、それは炭素から出る固有の音波の周波数に起因するものであるという解説がありました。


そのような訳で、当然のことながら我々研究員も所長を見習い、尺八の練習をすることになりました。上手な人は当時研究所の寮のあった近くの池上本門寺にて早朝練習をしていたところ、通りがかりの人が10円玉を置いていったそうで、それを見て皆で大笑いをしたのも良い思い出です。

さて仏教の中に「物心一如」という言葉があります。「一」は不二「如」は不異の意で、簡単に説明すると物と心は一つだということになります。

乳酸菌そのもの(物)と、乳酸菌の心。それは異ならず一つである。だからこそ、人の健康のために働くという真理が存在するのではないかと、私は考えております。

現在、光英科学研究所では乳酸菌(元菌)の保存・研究のための培養時、大量生産時にエンドレスでCDによる尺八の曲を聞かせております(正垣所長の演奏したものです)。

正垣所長の遺志が尺八の音によって作用された乳酸菌を通じて乳酸菌生産物質となり、皆様に広く役だっていただければと夢を託しています。
今回の禅問答のような表題、ご理解いただけたら幸いです。

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