2018.07.03

私的腸内細菌論

第81回 プラセボ効果と大手乳酸菌企業の商品販売戦略

10年以上前のこと、私はある方からこんな質問を受けたことがあります。


「ピロリ菌を殺すヨーグルトを妻に飲まされているのですが、全く効果がありません、どうしてですか?」と。


media advertisingその当時といえば、大手乳業メーカーが"X"という乳酸菌がピロリ菌を駆除する機能性について、大手4大新聞の全面広告やTVコマーシャルで大々的に喧伝していました。


しかしそこには、その乳酸菌を原料とした商品の名前は出ておりませんでした。


ところが数週間後、やはりこれも大手新聞やTVコマーシャルにて、X乳酸菌商品が発売されたという広告が出てきました。


ただし今度そこには、機能性についての説明は何ひとつありませんでした。


当然のことながら、この広告をご覧になった消費者の頭の中には、数週間前の機能性に関する広告が浮かんできたはずです。


ことに大手企業が行っている広告ですから、それを見た消費者にもたらしたプラセボ効果は十分なものだったでしょう。


まさにX乳酸菌を摂取すれば、ピロリ菌駆除ができるという感覚なのです。


このようにして、この乳酸菌は今もその機能性を消費者にしっかり認知されたまま市販されております。


中には本当に効果のあった人もいるかもしれません。


でも、それはプラセボ効果以上のものでないと私は確信しております。


 school lunchこのように大手企業はその後にも同様の手法で、インフルエンザの予防と謳い"Z"という乳酸菌を手掛けております。


インフルエンザの流行期でしたから、その商品は飛ぶように売れました。


このときの仕掛けとしては、インフルエンザ流行期の直前、ある小学校の給食にヨーグルトを提供することを試みたようだと、業界筋の噂で聞いたことがあります。


ヨーグルトがインフルエンザの予防になる!これほど強力でハッキリしたプラセボはありません。


もはや、ヨーグルトなら何でも良かったのでは?と、私は思っております。


このように、最近ではアレルギーに関する同様の手法が目立ちます。


行政の指導が入ったためか紙媒体での広告は姿を消しましたが、Webの広告では全くお構いなしの野放し状態です。


私は乳酸菌を愛する人たちの代弁者として、「乳酸菌をナメたらアカンゼヨ」と叫びたいのです。


乳酸菌は崇高なものです。


人生100年時代の主役である乳酸菌をもってして、こんな茶番劇に使ってはいけません!


乳酸菌は正しく利用して、はじめて、その効果を発揮します。


それには学者の方々も論文にだけ頼るのではなく、ぜひご自身で乳酸菌と向き合って対話してみてください。


人類のために役立ってほしいと乳酸菌が発するその声を、理解出来る人がひとりでも現れてくれるのを望んでいる今日この頃です。

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