2018.08.09

私的腸内細菌論

第83回 腸内フローラはコントロールできるか?

microbiology最近の学術学会では「腸内菌叢はコントロールできるか?」という研究の発表が続いています。


遺伝子の塩基配列を高速に読み出せる装置をはじめとする分子生物学の急速な発達により、様々な疾患や異常を持つ人の腸内フローラが研究され、健康のためには腸内フローラの正常化が必要であることが、学識者の方々にも解ってきました。


腸内フローラの研究については、1967年から1993年まで理化学研究所において東京大学名誉教授光岡知足先生により続けられましたが、理研フロンティアシステム腸内フローラシンポジウムの終結より、学術界は現在まで25年間空白の状態にあると言っても過言ではありません。


先日、光岡先生にお会いしたとき、「研究を踏襲する人はいなかったのですか?」とお聞きしたところ、キッパリと「それに値する人物は日本にはいません」と断言されました。


さすがに「世界に冠たる光岡先生」だと感服した次第です。


理研での諸々の研究の最終的判断は、光岡先生の眼力が必要だったそうです。


研究の火が消えたことは、結局、国家的にも大きな損失になってしまいました。


さて、弊社の先代の正垣所長は、昭和25年(1950年)に国会にて、腸内の有効細菌とその分泌物が健康には大切であるという講演を行っており、戦前からの研究成果として乳酸菌16種の共棲培養技術を説明しております。


これは議会講演速記録として国会図書館に収蔵されています。


そして、昭和44年(1969年)に正垣所長から、光英科学研究所を創立して腸内有効細菌の研究続行と事業拡大の特命を受けました。


16種の有効細菌の共棲培養による分泌物がヒトの健康を増進させることから、正垣所長が、乳酸菌が作り出す物質に注目し「乳酸菌生産物質」と命名したのもこの時期です。


研究所の創立はしたものの経済的には立ち行かず、私の得意分野である無線通信機の会社で生活費を得ながらの研究生活でしたが、まだ学術界も経済界も発展の途上にあったため受け入れてはもらえませんでした。


そして25年の月日が経過したとき、会社を設立するチャンスに恵まれ、晴れて世の中に乳酸菌生産物質を送り出すことができたのです。


それが平成6年(1994年)のことでした。


それからさらに24年もの月日が過しておりますが、おかげさまで数万人という乳酸菌生産物質の愛用者の方々に支えられつつ、会社は発展しております。


20年以上にも渡り多くの愛用者の方の健康維持に貢献できたのも、みなさまの愛があってこそと、さらに乳酸菌生産物質を世界に広めるべく使命感に燃えております。


冒頭の腸内菌叢コントロールはできるか?の命題に戻りますが、疫学的に分析してみますと、数万人の定まった人々が20年以上に渡り常用し健康維持に役立てている実態からも、乳酸菌生産物質が腸内フローラをコントロールしていることは、反論の余地はないものと思います。


学術学会としては、近年のメタボローム等のオミックス技術の進歩とともに腸内フローラの全ゲノム解析も進められており、今後は腸内細菌に関する研究成果が急速に増加してくると予想されます。


腸内フローラの体外培養により、活性成分や薬を大量に生産できる技術が確立される日が来ると信じておりますが、現在の健康長寿社会に今こそ求められているのは、健康寿命を延ばして労働人口を創成し国の財政に寄与することと思っております。


最後に、腸内菌叢と健康の関係にこのような注目が集まるきっかけとなった、2015年2月放送のNHKスペシャル『腸内フローラ』について、触れておかねばなりません。


番組中、腸内細菌学会の長老である光岡知足先生に全く触れていないのは、番組制作上の何らかの意図が感じられてなりませんでした。


なぜならば、光岡先生は2007年に、腸内細菌などの研究で優れた研究業績を挙げた科学者に贈られる世界最高峰の国際賞であるメチニコフ賞を受賞した存在であるからなのです。


この点において、番組が不自然であることは、学会の方々も感じておられたと思います。


いわば国民の生命がかかっているのですから、こういう番組にはNHKとしても公平な正しい報道を行ってほしいものです。

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