2018.11.16

私的腸内細菌論

第87回 「腸内フローラ」その幕引きは大河ドラマ「西郷どん」

2015年2月22日放送NHKスペシャル「腸内フローラ解明!驚異の細菌パワー」……この番組が大きな社会現象の発端となったのは、みなさまご存知の通りです。


健康に関係するテーマだけに、その後多くのメディアでも取り上げられ、「腸内フローラ」のことを知らない人など、もはや、いないのでは?と思われるまでに至りました。


結果、その成り行きとして、乳酸菌は健康に役立つ、というような共通認識が育まれました。


大手企業までもが、ブームの主役となった乳酸菌を、サプリメントのみならずあらゆる食品へと競って添加するようになったのです。


降って沸いた乳酸菌ブームに、乗り遅れたくなかったのでしょう。


数年が経過し、現在ではどうでしょう?……みなさまご存知の通りです。


たとえば、東京ビッグサイトで開催された「食品開発展」において、昨年も今年も乳酸菌は展示されず関連業者の姿は見られませんでした。


各企業は、商品パッケージデザイン上のアクセント程度にしか考えていなかった乳酸菌に、早くも見切りを付けたのです。


historical personそして現在では、NHK大河ドラマ「西郷どん」の主役を務める俳優が、乳酸菌サプリメントを手に持ってCMを行っています。


NHKスペシャル「腸内フローラ」物語の幕引きを、NHKゆかりの人物が行っていることに、なんだか果てない因縁を感じます。


学術界にも目を向けてみましょう。


腸内フローラの代謝物が、健康に関与しているらしいと注目され始めました。


実は、東京大学名誉教授の光岡知足先生が理化学研究所で腸内フローラの研究を終息されてから25年間、この研究活動は空白状態にあります。


つまり光岡先生の貴重な研究は、踏襲されなかったのです。


このような国家的にみても大きい損失と言わざるを得ない状況下、現在の学術界では、「腸内細菌はコントロールできるか?」が研究課題となっているようです。


longevity学術界の動向はさておき、我々は人生100歳時代を生きております。


だからこそ、健康長寿が待ったなしで求められているのです。


本当に健康へと寄与することができるものを、世の中に出来るだけ早く普及させる必要があるのです。


それには腸内フローラの代謝物を体外で生産した、乳酸菌生産物質が最適であると考えます。


16種35株から構成された、善玉菌の共棲培養による生産方式に対して学術的に意見が多々あると思いますが、ヨーグルトに関しては100年前から、代謝物に関しては75年前から、脈々とその研究を続けて来て、25年前には製品をみなさまに提供させていただき、現在数万人の方々に愛用されているという事実は、揺らぐことはございません。


疫学的にみても十分な実績の上で、申し上げております。


メダゲノムの解析から始まる腸内細菌叢の研究も大切なことと思いますが、昨今の学術界に対して、光岡先生は次のように提言されておりました。


腸内細菌を分離し純粋培養して50種類以上の項目について、その菌の性状を見極める研究をして、腸内細菌の7~8割を手作業が中心となる培養法によって同定しましたが、器機ばかりに頼ってしまうと、今まで長年に渡り受け継がれた技術が失われてしまいます。研究者は自らの手を動かし、経験を積んでいく事を忘れてはなりません。


その通りだと思います。


ひとつの細菌と向き合って、その菌の性状を読み取る能力を身に付けないと、別の菌との相性も判断できません。


腸内細菌叢を理解するための基礎知識です。


そして、共棲培養の基本となる大切な事項なのです。


しかし昔と違って現在の企業では、この基礎研究をさせてもらえません。


大学においても、費用の点から、企業の援助がないとそれが出来ません。


乳酸菌生産物質に関して、積極的に行動される識者の方が光岡先生以外には見当たらないのは、ノーベル賞受賞者の本庶先生も発言されていたように、基礎的な研究が為されていないからかもしれません。


11/15夜半にテレビを見ておりましたら、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」が、大手企業が社員約220人に乳酸菌を摂取させ社員の労働生産性5%向上を目論んでいるというニュースを報道しておりました。


これが乳酸菌生産物質であれば、そういった目標の達成にもっと貢献できるであろうにと思いながら眠りに就いた夜となりました。

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