2019.03.11
身近雑記
第92回 生きて腸まで届く菌
テレビ新聞等で「生きて腸まで届く乳酸菌」という広告を頻繁に見かけるようになったのは、もう20年以上も前のことになります。
それら広告が訴えるところは、次のようなものでした。
ヨーグルトに含まれる菌は胃酸で死滅してしまうが、プロバイオティクスとして開発された乳酸菌の多くは生きたまま腸に届けることが出来るようになった、
腸まで到達した乳酸菌は、乳酸を作り出して腸内環境を酸性にするため、善玉菌が働きやすくなり悪玉菌が抑制される、
この説明を受け、誰もが素晴らしいと思ったことでしょう。
腸まで確実に届いて、乳酸を作ってくれるとガッテンしたわけです。
ところがそれは「早合点」だったのです。
乳酸菌が乳酸を作るには発育して増殖するという絶対条件が必要ですが、ヒトの腸内では、異物と判断され排除されるため、乳酸は作られません。
学識者の方々はプロバイオティクス乳酸菌を腸に定着させる研究をいろいろと試みたのですが、腸本来の、ヒトの健康を守るためのしくみには勝てなかったというわけです。
なにしろ現在まで、腸に乳酸菌を定着させる(棲み付かせ増殖させる)という論文は一報も出ておりません。
その後はヨーグルトだけでなく、生きた乳酸菌製剤も作られて、サプリメントでも「生きて腸まで届く」をセールストークにしたものが次々と販売されています。
NHKスペシャルで腸内フローラという概念が報道されて、もう4年になります。
放送のおかげで「健康には乳酸菌」という概念は、定着しました。
しかし、腸に定着することのない乳酸菌、ビフィズス菌を、未だに追い続けているのです。
3月2日付読売新聞で、全面2ページから成るシンポジウム形式の某メーカーの広告を拝見しました。
それを見て、「あれから20年も時間は止まったままになっている……」と痛感した次第です。
もうこれは、プロバイオティクス信仰を通り過ぎ、マインドコントロールされていると思わざるを得ません。
弊社の乳酸菌生産物質を愛用されているみなさまは、ご自分の体感を心の目でご覧になり、その声を聞いてみてください。
私の申し上げている真実がお分かりいただけることと、確信しております。
30年前、大きなショルダー型をしていた携帯電話は、今やスマートフォンへと進化していますが、乳酸菌関連商品の進化の度合いはどうでしょう?
乳酸菌生産物質の進化の道は明らかになっているものの、学識者の方々はこれにガッテンされていません。
したがって企業の商品開発に携わる人たちにも、進化してキラリと光っている道筋が見えてこないのです。
ご自分の手で乳酸菌を長年に渡り培養を続けている研究者なら、ヒトの腸内環境で菌の発育増殖は絶対に不可能な真実と理解できるはずなのですが、残念ながら同調される方は光岡知足先生以外には見当たりません。
そうも言っておられないので、大学の研究室や分析機関と連携して、メタボライズ(代謝物)のエビデンスを着々と構築中でございます。
スイスの科学ジャーナル「Nutrients」への論文投稿の継続や、毎年の日本薬学会での発表、有名大学における遺伝子レベルでの代謝物の分析も進んでおります。
bright future世界の人々の健康のために、力不足ながら精進しておりますので、どうぞ進化の道が未来に拓ける有り様にご期待ください。