2019.06.06

私的腸内細菌論

第96回 抗生物質と腸内フローラ

6月に入り、そろそろ各地で梅雨入りの便りが届き始め、1年の中でも1日の温度差のアップダウンが大きい日が現れる季節となりました。

このような梅雨寒のときに訪れる季節はずれの寒さによって、体調を崩し、体力の低下とともに風邪を引いてしまうことが、しばしばあります。

そんなときは最寄りのクリニックで診察を受け、抗生物質を処方された経験のある方も多いことと思います。

みなさんご存知のこととは思いますが、抗生物質は、微生物が産生し他の微生物の発育を阻害する物質と定義されています。

ところが風邪の原因の90%はウイルス感染であるため、抗生物質は無力なのです。

残りの10%、つまり免疫力低下による細菌の二次感染を予防するために処方されているわけですが、最近ではこの予防効果も無いことが分かっています。

むしろ、風邪には抗生物質という思い込みで、多くの抗生物質を摂取し続けていると困ったことが起こります。

その抗生物質によって自分の身体に細菌に対する耐性菌を貯えることになり、細菌による発病の際、いざ抗生物質が必要なときに効き目が伴わないというリスクを背負おうことになるのです。

 

 

この抗生物質という存在は、私たちの命を守ってくれている腸内フローラを形成する腸内細菌に対しても毒として働きます。

病院で処方される飲み薬程度のものでも、それを摂取したら便が柔らかになったり下痢になったりする経験はないでしょうか。

この程度の現象であれば、腸内フローラの腸内細菌が根こそぎ死滅するまでには至りませんので、元のフローラに回復しますが、入院して点滴による静脈注射による抗生物質の投与を続けるなどしていますと、フローラが全滅してしまう危険性があります。

この世に生まれたときから身体を守り続けてくれた腸内細菌を失うことになってしまいますので、残りの人生において腸の働きの異常が延々と続くような大変不幸な状態となる可能性が伴います。

 

 

実は、私の40年来の友人に前立腺がんの疑いが持ち上がり、そういった場合、腸から30数個の組織を取得し生検するための全身麻酔を行うのですが、その際に彼は感染症予防として点滴で抗生物質投与を受けたのです。

結果、がんの疑いは無かったものの、腸内環境が無茶苦茶になり、元通りには戻らなくなりました。

そういった相談を受けましたので、現在、友人には乳酸菌生産物質を使って対応してもらっております。

何とか腸内細菌を良い形で復活させ、完全に元通りとまではいかなくとも、正常な腸内細菌になることを願っている次第です。

 

 

日頃から健やかな腸内環境のために、腸内フローラにやさしい食事やら生活習慣を心掛けていたところで、一時の抗生物質という“毒物”のせいで全てが廃退してしまいます。

たしかに、抗生物質は医療のために、なくてはならないものです。

しかし、その使用方法には十分に注意しなければならないことを、みなさまもぜひご理解いただければと思います。

 

 

追伸)この度、日本食品分析センター多摩研究所における、同定の試験報告書をエビデンスとして開示しました。これは、腸内フローラ由来の16種35株の乳酸菌チームを構成する菌1つ1つ(仮称:No.007菌としています)の存在証明となる貴重な資料であるとともに、純正なる乳酸菌生産物質を作る上でも不可欠な作業なのです。

「共棲培養の証明」ページ内より→「試験報告書全文」からご覧ください。

同時に「共棲培養のQ&A」も新設しました。

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