パイエル板

腸内における病気から身を守る生体防御の仕組み、すなわち腸内の免疫機能を腸管免疫と呼びますが、パイエル板は、この腸管免疫と腸内細菌の関わりを知る際に重要な言葉といえます。

腸管免疫の舞台ともいえる小腸の内壁には、無数のヒダがあります。さらにその表面は、絨毛と呼ばれる小さな突起で覆われています。これにより小腸の内壁の表面積を広げることで、栄養分を吸収する役割を果たしています。

またここは、同時に免疫細胞の集結場所としても機能していることも分かっています。それこそが、絨毛と絨毛の間にあるパイエル板と呼ばれる場所です。

パイエル板には、免疫細胞の一つであるリンパ球、マクロファージなどが多数待機し、細胞に備わっている自然免疫の働きと連携しながら病原菌を捕まえてくれる抗体を製造しているのです。結果、胃液でも死なないような病原菌、からだに有害な物質を撃退し、体内に吸収させないようにしています。

乳酸菌をはじめとする腸内細菌が、からだにもとから備わる自然免疫の働きを刺激することで、腸管免疫が活性化することも重要です。

1677年、スイスの医師パイエル (Joseph Conrad Hans Peyer)が、小腸内壁のヒダを覆う絨毛は、小腸内部に均一に生えているのではなく、ところどころ絨毛が未発達の領域がパッチワーク状に点在していることを見出し、医師自身の名前により、Peyer's patch(パイエル板、パイエルのパッチ)と名付けたものです。

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