大澤教授・特別対談「食の機能性と微生物パワー」(3)食の機能性を解析する

大澤俊彦 氏(愛知学院大学心身科学部・人間総合科学大学人間科学部 特任教授)

大澤俊彦教授

日本抗酸化・機能研究会理事長、日本食品・機械研究会会長、日本食品安全協会理事など多数。
日本農芸化学奨励賞受賞、日本農芸化学会賞受賞、飯島食品科学賞、
日本ベンチャー学会会長賞、日本食品科学工学会功労賞授賞。
農学博士。

大澤教授の略歴

「食の健全性」という研究テーマ

大澤俊彦教授,熱心

《大澤教授》私はもともと、健康との関わりにおいて健全な食生活こそ大事であると、「食の健全性」という言葉を使っておりまして、これは名古屋大学にいたとき研究室のメインテーマだったんです。

1984年に、「食の機能性の解析」という文科省の大型研究が始まり全国から60以上の大学の研究グループが加わりました。

食には三つの機能性がある、それは
・一次機能:栄養(三大栄養素+二大栄養素)
・二次機能:おいしさ(味、香り、食感が良い)
・三次機能:健全性(安全で健康に良い)
なんですが、三つ目の三次機能を研究しようということで、国による大型研究として科研費が通ったんです。

ところが、当時の厚生省によって機能性食品という名称はダメだとされて、それで、出て来た名前が特定保健用食品だったと……なぜ機能性食品としないのかと(笑)。

-今になって機能性表示食品の方が優勢だというのは皮肉なことですね。

メタボローム解析から見えてくるもの

《大澤教授》機能性表示で重要になってくるのが、御社がやられたメタボローム解析のデータでしょう。

僕も感激したんですが、大変なお仕事ですね。

-光岡先生にデータをお見せしたときも、君これだよ、これだよ、これで私の仮説が通説になったよ、と言われました。先生の時代にはないものでしたので、メタボローム解析が出来るようになってわかったことがたくさんあります。

大澤俊彦教授,ツーショット

《大澤教授》あるものの中から有効成分を絞り出すときに身体の中でどういう変化が起きるか、これを知りたいと技術的に押し進めてメタボローム解析が生まれました。

このデータをもとに、御社の菌株からいろいろな生産物質が出来るでしょうが、たとえば脳機能にはこれがいい、腸に対する影響だったらこっちがいい、アミン系代謝物、GAVAのようなもの……と見えてくるのです。

炎症は問題、それを抗酸化物質で防ぐ

-抗酸化や抗炎症という物質がメタボローム解析で出ております。

《大澤教授》抗炎症も身体にとっては大事ですね、炎症というのは問題なんです。

僕は昔から、白血球、特に好中球は私たちの身体を守るのに必要ですが、ウイルスが入ったときに働き過ぎると炎症反応を起こす……たとえば喉とか、特に肺で炎症反応が過剰に起きると何か起きるか? 実は酸化ストレスであるといわれている。

だから、そこで抗酸化物質をうまく与えてあげると重症化を防ぐことが出来ます。

ウイルスを殺してくれるのは大事な役割なんですが、そのとき同時に炎症反応として強力な酸化反応が起きるので、それを抗酸化物質で防ぐという考え方を提案しております。

-食習慣として生活の中に採り入れておくということも大事になってきますね。

《大澤教授》そう思いますね。

たとえば、運動をすれば脂肪のβ酸化、いわゆる燃焼効率は上がるけれども、同時に筋肉は酸化で傷ついてしまう、酸化で筋肉中の酵素活性が低下してしまう、それが筋肉痛や疲労の原因である。

それも抗酸化物質が防いでくれる、という実験結果があります。

大澤俊彦教授,笑い

-最終回「抗炎症・抗酸化のバランス」に続きます-

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インタビュアー

この度、農学博士であり愛知学院大学特任教授の大澤俊彦先生を弊社アドバイザーにお迎えいたしました。食品と健康との関わりについて、大澤先生ならではのご見識に少しでも触れることが出来れば、と思っております。有益で貴重な情報をみなさんと共有出来るよう、対談を重ねていく予定です。

大澤教授対談インタビュアー

大澤俊彦教授(写真・中央)
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株式会社光英科学研究所 代表取締役会長 村田公英(写真・右)
株式会社光英科学研究所 代表取締役社長 小野寺洋子(写真・左)

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