2024.04.24

身近雑記

第162回 腸内細菌代謝産物と純正醍醐論

NHK人気番組「チコちゃんに叱られる」でも紹介された2500年前に古代インドにて珍重された保存食品で仏典にまで記載されている「醍醐」について、前回のブログでご説明したところ多くの反響をいただきました。

 

「醍醐」については各方面の方が解説されていますが、私は長年に渡る乳酸菌生産物質の研究開発に携わった経験を基に「純正醍醐論」なるものを自分なりに考察してみました。

 

醍醐をつくる際に仏典に表記されている「乳-酪-生酥-熟酥-醍醐」の5段階に区分されていた培養工程は、人の五感から得られた発酵の変化の有様を克明に表現されております。

そして私は、この発酵工程の内、熟酥から醍醐に至る変化に最も重要な要素があると考えます。

 

この変化が順当に得られるには、生酥の段階に発酵に携わった共棲状態にある複数の細菌の存在が不可欠ではないかと。

醍醐を完成するには、その当時に培養器として使用していたものに付着し定着した細菌群がカギになっていて、私たちの腸内細菌群と同様に自然の摂理により獲得したものに他ならないと考えます。

 

そのようにして考えますと、私たちも腸内にて「自前の醍醐」をつくり出しているということになるのではないでしょうか。

 

当時は当然ながら腸内細菌学は存在しておりませんが「醍醐」が生きた菌ではなく、その代謝産物であり、効果が認められたことが、仏典にまで記載された所以なのではないかと思っております。

 

話を現代に戻します。

健康に関する問題として、機能性表示食品が取り上げられている昨今ですが、制度が出来る時に当時の「規制緩和会議」のメディア記事を私が拝見したところ、

「それだけ食べて健康になる食品はない。規制緩和が国民の期待感だけをあおる結果にならないためにも、リスクに目を向け信頼できる表示を求めたい。」

と結ばれていました。まったく同感です。

何か特有のひとつを摂るだけで健康になるというものはないと、私は思っております。

 

腸内に定着している私たちの腸内細菌群は、多種多様な代謝産物を産生し、一生に渡り人間の健康を司ります。

この自然の摂理を忘れないようにしようと思う今日この頃です。

 

今回は、一人でも多くの皆様に乳酸菌生産物質を生活に取り入れていただけるよう、私の考察する「純正醍醐論」についてお話させていただきました。

ご理解いただけましたら、この上ない喜びです。

 

 




近年は健康食品市場だけでなく、一般的にも「健康には乳酸菌」という概念が定着しつつあります。

しかし、人の健康に役立つのは乳酸菌そのものだけではなく、その代謝物である「乳酸菌生産物質」がより重要です。

この本には、16種35株のビフィズス菌を含む乳酸菌の共棲培養技術のノウハウや、「乳酸菌生産物質」の商品化の知識など、私の視点から見た「乳酸菌生産物質」に関する情報が余すところなく盛り込まれております。

ぜひ第1巻に続き、第2巻もお手元で開いていただければ幸いです。

 

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