2014.12.26
私的腸内細菌論
第29回 フレンドリーコミュニケーション
平成26年最後のブログとなりました。今年お読みいただいた皆様に厚く御礼申し上げます。
さて、今回のキーワードは、コミュニケーションです。それも「フレンドリーコミュニケーション」です。「フレンドリーコミュニケーション」があってこそ、物事が良い方向に進みます。人と人、家族、国家、世界。そして、人の健康もそうです。
先日、私の長年の友人である神戸の薬剤師の方と、電話でお話をしました。御年80歳になられますが、今も現役でショッピングストアの薬局に勤めています。お休みの日に自宅にいると、彼を目当てに店に来た高齢のお客様から「今日はあの人はいないのですか?」と残念がられるそうです。いらっしゃったお客様は、この薬剤師さんとお話をして「フレンドリーコミュニケーション」を取ることで、健康と安心感を得ていらっしゃるのでしょう。素晴らしいことです。
さて、この薬剤師さんは若い時に胸の病気をされ、長生きできないだろうと言われていたそうです。
「80歳になって元気で仕事ができるのは、乳酸菌生産物質を継続して飲んでいるおかげと、つくづく思うのです。身体から離すことができないですね。もう、とっくに死んでいてもいい命なのですから、乳酸菌生産物質と共に大事に生きていきたいと思います」
電話からの声に、私は胸から込み上げる感動を覚えました。長い年月、乳酸菌生産物質の開発に携わってきて良かったと思う一瞬です。
この喜びも、「フレンドリーコミュニケーション」の賜物と考えます。
さて、ここでわが社の乳酸菌生産物質も菌と菌が織りなす「フレンドリーコミュニケーション」で成り立っていることを皆様へお伝えしたいと思いました。
そこであらためて、当社の乳酸菌生産物質についてご説明させていただきたいと思います。少々長くなりますが、最後までお読みいただければ幸いです。
ヒトの腸内では、生まれたときからその人に住み着いている腸内菌により、多くのグループが形成されています。まるでお花畑のように群れをつくり(腸内フローラといいます)、互いにコミュニケーションをとりながら、分布しています。
そしてグループ同士で腸内環境を正常に保つために、バランスをコントロールしています。それら腸内菌の中でも、乳酸菌を代表とする善玉菌が作り出す代謝産物が、ヒトの健康を支えているのです。
しかし、腸内環境が悪化したり、加齢により劣化すると善玉菌の代謝産物を得にくくなります。それを補足するためには、善玉菌の代謝物と同様の物質を体内に取り込む必要があります。そこで開発されたのが「乳酸菌生産物質」です。
開発において、一種類の乳酸菌で「乳酸菌生産物質」を得ようと試みても、代謝物質の種類や量が圧倒的に足りない。そこで、ヒトの腸内フローラの構成にならった乳酸菌のグループを作り、代謝産物を得ることになりました。
それはまさに、菌と菌が「フレンドリーコミュニケーション」できるように、菌種を選ぶ作業でした。長い年月と根気強さが求められました。その結果、二種から四種類でグループ化した40組以上が得られました。
しかし、実際の腸内では幾つものグループがコミュニケーションを取っています。従ってグループとグループがフレンドリーコミュニケーションを取れるように、さらにグループ群を組み上げる必要があったのです。これにも長い年月がかかりました。
最終的に、研究室で安定してグループ化させるために必要な菌種が16種にしぼられました。このグループで作り出されたのが「乳酸菌生産物質」です。
乳酸菌生産物質に含まれる成分はメタボローム解析により現在352種類あることがわかっていますが、まだ判明していないものもあると思っています。菌同士の「フレンドリーコミュニケーション」で得られる代謝産物は、さまざまな成分が複合しています。だからこそ体の細胞レベルに働きかけ、ヒトの健康を支えているのだと私は思います。
安倍総理の政策により、食品の新たな機能性表示制度が実施される方向になりましたが、機能性食品の単一成分に着目した内容となりそうで、残念ながら複合成分を有するものの扱いに進展するのは難しそうです。乳酸菌生産物質のような複合成分による、体への「フレンドリーなコミュニケーション」が健康に大事なものと私は思うのですが・・・。
それでは皆様よいお年をお迎えください。来年も何卒ご継読のほどお願い申し上げます。
光英科学研究所 村田公英 会長ブログ【私考欄】は絶賛更新中です。社長時代のブログは、『「乳酸菌生産物質」に賭けた人生1・2(村田公英の社長ブログ『私考欄』より)』に書籍化されておりますので、本サイト掲載以外の回は書籍にてお楽しみください。 |