2025.07.25
私的腸内細菌論
第177回 乳酸菌生産物質の製造の特徴⑥ 大腸は人体の「発酵タンク」
連日の猛暑でございます。皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。
テレビの天気予報を見たところ、今期最大の暑さはこれからとのです。
皆さまにおかれましては、ご自身の体からの声を聴きながら、体調管理をよろしくお願い申し上げます。
今回は弊社工場の大型発酵タンクの働きについてご説明する予定でしたが、その前に皆さまの体内にある大腸の働きについてお話したいと思います。
なぜなら大腸は、人体における「発酵タンク」と言えるからです。
そのことについて、長年に渡る乳酸菌共棲培養研究の経験から、私の考察を通してわかりやすくお伝えできればと思います。
さて私たち人間が毎日食べているものは小腸で消化吸収され、その余り物(食物繊維など)が大腸に送り込まれています。
大腸は太さ5~8cm、長さ150~180cmの管状の消化器官で、中に存在している腸内細菌は1000種類100兆個、重さにして1.5~2kgもあると言われています。
これらの腸内細菌は個々にバラバラに生息しているのではなく、多種類の菌が群れをつくって生息しています。
その様子がまるでお花畑のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれています。
人間は母体(胎内)にいるときは無菌状態ですが、誕生した瞬間から体内に微生物が入り込みます。
こうして生まれたときに腸の内壁に隙間なくびっしりと腸内細菌が住みつき「腸内フローラ」を形成するのですが、その菌群の状態は安定して定着し、そのパターンは基本的に一生変わらないため、人相・手相にならぶ「腸相」とも言われております。
お話を戻しますと、私たちが食べたものは小腸で吸収され、その余りものが大腸に到達するわけですが、その余り物こそが腸内細菌たちの大事なエサになって発酵・代謝が行われています。
これが大腸が人体における「発酵タンク」である、といわれる所以です。
腸内細菌たちは大腸の発酵タンクにおいて健康を司る代謝物質をつくり出し、その代謝物質は大腸壁の組織を通じて、人間の体内に送り込まれているのです。
腸に棲む腸内細菌が休みなく、私たちの大腸タンクにおいて発酵・代謝を続けていることから、「終わりのない連続培養」が大腸の発酵システムであると私は考えております。
以上が大腸発酵タンクの世界の一部になりますが、ご理解いただけましたでしょうか。
次回は弊社工場における大型発酵タンクとの関連について解説いたします。
近年は健康食品市場だけでなく、一般的にも「健康には乳酸菌」という概念が定着しつつあります。
しかし、人の健康に役立つのは乳酸菌そのものだけではなく、その代謝物である「乳酸菌生産物質」がより重要です。
この本には、16種35株のビフィズス菌を含む乳酸菌の共棲培養技術のノウハウや、「乳酸菌生産物質」の商品化の知識など、私の視点から見た「乳酸菌生産物質」に関する情報が余すところなく盛り込まれております。
ぜひ第1巻に続き、第2巻もお手元で開いていただければ幸いです。
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