2026.02.25
私的腸内細菌論
第184回 乳酸菌生産物質の製造の特徴⑬ 大腸発酵タンクの老化
梅のつぼみもほころび始め、春の訪れが待ち遠しい季節となりました。
皆さまにおかれましては、ますますご健勝のことと拝察いたします。
さて、今回も前回に続きまして、私たちの体の中の大腸(私は「大腸発酵タンク」と呼んでいます)の中に棲んでいる善玉腸内細菌についてのお話です。
私たちの大腸発酵タンクの中では、多くの善玉菌が群れをなして、いわゆるチームを形成して働いております。
この菌のチームは大腸の内壁にびっしりと定着しており、その表面積はテニスコート半面分と言われております。
物理的には、これらの善玉菌は腸内壁の腸管上皮細胞と共存しており、そこで連続共棲培養が行われています。
そこで得られた代謝産物(乳酸菌生産物質)が、その人の健康を支えるために腸管上皮細胞を通して体内に吸収されるという仕組みです。
ところが、加齢に伴い腸内細菌叢の構成には変化が発生します。
その結果、多様性が低下して善玉菌が減少し、悪玉菌が増加して健康寿命にも影響が出るのです。
このように申し上げると、あたかも善玉菌自体が老化したのかのように思えますが、実は、老化するのは善玉菌と共生関係にある、腸壁面の腸管上皮細胞のほうなのです。
体の細胞は限られた回数しか分裂増殖することができません。
分裂の限界は約50回で寿命に換算すると120年と言われています。
加齢により腸管上皮細胞の働きが老化により劣化してまいりますと、健康を支える乳酸菌生産物質が大腸発酵タンクの中で十分につくり出せなくなります。
ちなみに、減少した善玉菌の働きを補うために腸内細菌に最適な食品を食べて菌に栄養分を与えてみても、老化した大腸発酵タンクにおいて菌が復元することはきびしく、さらに、菌自体の数を補うため元気な生きた善玉菌を摂ってみても、そもそも腸内壁には定着することは難しいのです。
私の考察によりますと、若い時から腸内環境に留意した生活をしていても、老化の速度の差異はあるにしても腸を形成している細胞の老化は進みます。
そして人が生まれたときから健康を支えるための腸内細菌叢の代謝産物である自前の乳酸菌生産物質の出来高は下向してまいります。
人生100年時代になった現在、健康寿命を延ばすためには、体の外で乳酸菌生産物質をつくり、体に摂り込むことが健康にとって最も合理的な作戦であり、これを世界のできるだけ多くの人々に認知していただくべく、私自身、残る人生を邁進していく所存でございます。
近年は健康食品市場だけでなく、一般的にも「健康には乳酸菌」という概念が定着しつつあります。
しかし、人の健康に役立つのは乳酸菌そのものだけではなく、その代謝物である「乳酸菌生産物質」がより重要です。
この本には、16種35株のビフィズス菌を含む乳酸菌の共棲培養技術のノウハウや、「乳酸菌生産物質」の商品化の知識など、私の視点から見た「乳酸菌生産物質」に関する情報が余すところなく盛り込まれております。
ぜひ第1・2巻に続き、第3巻もお手元で開いていただければ幸いです。
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